▼はむすたー
3時のおやつタイム
小さな白と黒のねずみの姿をしたシロンとランシーンは
マツタニ家でヨウコ特製のチョコケーキを食べようとしていた

ドタドタドタと玄関の方から走ってくる音が聞こえる

足音ですでに誰なのかは解る2匹

『今日は3人で一緒におやつが食べられそうですね』
そうグググ語で
ねずっちょに話しかけるわるっちょ

『だな』
ねずっちょも頷いて返事をする

それと同時に
バターンとドアが開き
「た・・・ただいまー」と
肩で息をしながら風のサーガことシュウが帰ってきた

「ンガガー♪」「ググー」
お帰りと言わんばかりの雰囲気で
テーブルの上で手を振る2匹

「!!!!」
シュウがテーブルの2匹を見た瞬間
みるみる顔色が変わる

そして

ダッシュでテーブルまで行き
「食べるなーーーー!!」
そういってチョコケーキをいきなり取り上げる

『『はい??』』
一瞬訳がわからない2匹

しかし、ねずっちょは黙っていなかった(当たり前)
「ンガガガアアア!!」
一気に抗議の声を上げてシュウに蹴りを入れようとする

「ダメ!!ダメなの!!お前たちがチョコ食べたら」
「死んじゃうだろうがーーー!!」

ねずっちょの攻撃を顔面に受けながら
半泣きになるシュウ

『『はあああ???』』
訳が解らないのは2匹である

何で自分たちがケーキを食べて死ぬんだ?

とりあえずケーキを取り返そうとするねずっちょに
『待て』と静止をかけて
ぱたぱたと飛んでシュウの肩に乗るわるっちょ

「ググーグ?」
いったいどうしたんです?というような
そぶりを見せ、シュウに聞いてみる

シュウはケーキを持ったまま
ぐしぐしと反対の手で涙を拭き
「今日学校で友達から・・・」
「ハムスターにチョコとかねぎとか食べさせると」
「中毒起こすって話・・・聞いて」

ハムスター?
中毒って・・・;;

「ンガーガガ・・」
『俺ら、ハムスターじゃないんだけど・・』
ねずっちょはガガガ語でそう呟く

目を真っ赤にしてケーキを抱えるシュウに苦笑しながら
わるっちょは腰にあるタリスポッドに飛び乗り
「ググー!」と声をかける
リボーンしてください、という意味だ

マツタニ家の庭先に出てシュウがタリスポッドを手に
「リボーン」と言うと
さっきまでの黒いねずみは
大きな漆黒の翼を持つ風竜に変化する

そして目の前にいる小さな子供を抱き上げ
優しく語りかける
「風のサーガ、今の私の姿が解りますか?」

「うん・・・」

「何に見えます?」

「・・・ドラゴン」

「そうです、私たちは『ドラゴン』であって」
「『ハムスター』じゃありません」

「これが、本当の姿ですよ?」
そういってシュウの涙をそっと手で拭き取るランシーン

「うん・・・そうなんだけどさ」
「やっぱり小さい時の姿みると・・・」
「ハムスターみたいで・・・やっぱ同じなのかな・・って思っちゃって・・・」

「まあ・・・見た目はそうかも知れないですが」
「よく考えてください」
「私たち、チョコもねぎもいつも食べていますよ?」

「・・・・あ!」

「死んでしまうなら、もう死んでるかもしれませんね」
笑いながらランシーンは言う

「うん・・・そうだな」
へへっと笑うシュウ

この辺はシュウらしいと言えばシュウらしいのだが

「それにもし・・・」

「?」

「中毒起こしたとしても、貴方がいれば治せるでしょう?」
タリスポッドに戻せば大丈夫なのだから

「あ、ホントだ・・・」
タリスポッドを見つめながら言うシュウ

「さ、ケーキみんなで食べましょうか?」
「紅茶は冷えたかもしれないので、入れなおししましょうね」

「うん」


そしてシュウに再び小さくしてもらい
マツタニ家に戻っていくわるっちょとシュウ(ねずっちょも)


シュウが抱えていたのでちょっとつぶれてしまったが
味は甘くて美味しかったケーキ



ちょっとお騒がせな平日のお話



おしまい

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あとがき

ハムスターネタでした(笑)
たまねぎってどの動物も割りとアウトですね;;
まあドラゴンさん方は雑食ってことでw