▼金色の髪(ランシュウ)

穏やかな風の吹く昼下がり
秘密基地の屋上で
ランシーンは風に当たりながら本を読んでいた

その傍らには『風のサーガ』のシュウが居る

ランシーンは建物の壁にもたれて
シュウはその壁の上にあるスペースに座っているので
丁度ランシーンの頭の辺りにシュウが居るということになる

シュウは風に揺れる金色のさらさらな髪を見つめて
ふわりと触れてみた
「・・・?どうしました?」
頭に触られる感覚に思わず顔を上げるランシーン
「ワル夫の髪ってすごいサラサラだよな〜」
「でかっちょはふわふわで全然違うのな」

「そうですね・・・」
元は同じドラゴンでも
私とアイツは違う
性格も考え方も違えば
色も違う
同じなのはウインドラゴン
『風の竜』ということだけ

シュウはおもむろに
ランシーンの髪を結んでいた紐を解く
「!!サーガ??」

結わえてあった髪ははらりと解け
風に流されるようにさらさらとなびく
「いっつも括っててさ、なんだか固く見えるから」
「たまにはこういうのもいいんじゃね?」
「太陽にキラキラ光る河の流れみたいだぞ」
シュウが悪戯っぽい顔で笑う


ランシーンはそんなシュウを見つめ
口元に少し笑いを浮かべる

そして読んでいた本を閉じて
ゆっくりとシュウの頭へ手を回す
「ほえ??」
シュウが変な声を出すのと同時に
シュウの結わえていた髪も解かれ
ぱらりと黒い髪も風に流れる

「私だけじゃフェアじゃないでしょう?」
ランシーンが笑顔をシュウに向ける
その笑顔はシュウが今まで見た事が無いような優しい笑顔
唯一大切な存在に贈られる最高の笑顔

「そうだな・・・」
シュウも再び笑う

風に流れる『金色の髪』と『漆黒の髪』
どちらも太陽の光を受けてきらきらと光る

そのお互いの髪を
優しく触れながら

触れるだけのキスを交わす

穏やかな風は1人と1竜を優しく渦巻きながら包み
そして見守るように吹き抜けていった


おしまい

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あとがき

表のシュウとランがこんなラブラブなのはおかしい(笑)ので
つかシロシュウでもいえる事(笑)
一応パラレルってことでお願いします〜(ぺこ)