▼風3
天気の良い昼下がり
秘密基地の屋上で
お弁当を食べ終えたシュウとねずっちょシロンは
寛ぎながら昼寝をしていた

大きい方がふかふかだからといきなり大きい姿にされたシロン
「俺はベッドかよ!」と突っ込みを入れながらも
自分の腹の上でじゃれつくシュウを見てると
何も言えなくなり
結局そのままほっといて自分も目を閉じる

ヒュウ・・・と風が吹く

・・・・・・!

ふっと屋上に吹いていた風に変化が起こる

「・・・・ん?この風・・・」
シロンが目だけを開けてぼそっと呟く

するとシュウが
「あぁ、ワル夫が帰ってくるみたいだね〜」
「仕事が終わったのかな?」
とそれに返事を返す

「!!解るのか?」
シロンは驚いたように
首を上げて腹の上に居るシュウを見つめる

「ん?解るよ?なんでそんなに驚くの?」
キョトンとするシュウ

「ワル夫の風はね〜」
「なんつうの?物静かな、落ち着きのある穏やかな風なんだよな〜」
シュウは目を閉じてランシーンの風を肌で感じる

「ちなみにでかっちょの風は〜」
「時々豪快で激しい時もあるけどぽかぽか暖かくて優しいんだ〜」
へへへっと笑いながらシュウはシロンに言う

「・・・・・・・・」
シロンはシュウを黙って見つめている

「・・・・なに?」
シュウにはシロンの視線の意味が解らない

こいつ・・・俺達の風を
感じてくれているのか・・・


そしてくすっと笑いシロンは
「何でもねぇよ」と言って
シュウの頭をくしゃくしゃと撫でた

「わ!!なんだよ!!やめろよ〜」
「頭くしゃくしゃになるじゃんよ〜」
シュウは頭をくしゃくしゃにされて
ちょっぴり苦笑い気味だ


知ってるか?サーガ
お前からも風は吹いているんだぜ

俺達もお前の風を肌で感じているんだ

自由奔放で

俺達の風を癒せる

穢れのない純粋無垢な風


気持ちの良い癒しの風を・・・


おしまい