▼闇(ランシュウ)
土曜日夜、皆が寝静まった頃
ランシーンとシュウはマツタニ家の屋根の上にいた

シロンは今日の昼間にシュウの何処に飛ぶか分からないキャッチボールに
ねずっちょ姿で付き合わされてヘトヘトになり熟睡している

そのため星空を見ながら風に当たろうと言う事になると
当然ランシーンが駆り出される訳だ

とはいえその当の本人は10分もしないうちに
ランシーンの腕の中で星を見ながら寝てしまっていた

腕の中で安心しきった顔で寝息を立てているシュウ

ランシーンはそんなシュウの纏う風を感じながら
とても穏やかな顔でシュウを見つめていた


しばらく愛しい子供を見つめていたが
自分の中に徐々にだが、ある感情が芽生えてくる

『独占欲』

この子供を誰の手にも触れさせたくない

自分だけの物にしたい

その碧の瞳に映るのが自分だけであったなら・・・・

ほしい

この子供の全てがほしい

このまま誰の手にも、目にも届かない場所へ連れて行ってしまおうか・・・・

自分の中の『闇』がそう囁く

少しだけ子供を抱く手に力が入る




そんなこと出来る訳が無いのに

解っている

そんな事をしてもこの子供が喜ぶ訳が無い事も

解っていてもその感情は大きくなり抑えられないほどに
自分の心を締め付ける

「サーガ・・・」

寝ている子供の唇に自分の鼻先を近づけ
そして口付ける・・・

「・・・・ん・・なに・・?」
唇に触れられる感覚に目を開けるシュウ

「目、覚めましたか?」
ランシーンがシュウから顔を離して話しかける

「・・・今・・・なんかした?」
まだ覚醒しきっていない虚ろな目でシュウが聞いてくる

「・・・何もしていませんよ」とランシーン

「そう・・・」目を擦りながら欠伸をするシュウ


「さあ、そろそろ部屋に戻りましょう、
夜風に当たりすぎて風邪でもひいたら大変ですから」
そう言ってランシーンはシュウを抱えたままバサリッと翼を広げる

「うん・・・あ!!ちょっと待って」
そう言ってシュウがランシーンの手から抜け出した

「あ!危ないですよ、屋根の上で走っては」
慌てて静止をするがまったく聞いていないシュウ

屋根の角に来てシュウはある物を拾った

それは大きな黒い羽根

「・・・それは」

「ワル夫、コレお前の羽根!」嬉しそうに答えるシュウ

「私の・・・羽根・・・」
何故そんなに嬉しそうな顔をするのかよく解らないランシーン


「すっごい綺麗だよなぁ、真っ黒で」
「でかっちょは真っ白でワル夫は真っ黒」
「全然違うけどどっちも綺麗だなぁ」
ニコニコと笑いながら話すシュウ

「私の・・・羽根が・・・綺麗?」
「真っ黒な・・・闇に染まった羽根が?」
戸惑いながら口に出すランシーン

「闇に染まったって・・・まーた変な事言って」
呆れた口調でシュウが言う

「別に黒は闇じゃないだろ?」

「知ってた?お前の黒い羽根」


『俺の髪とお揃いの色なんだぞ』


ランシーンの闇に染まりかけた心に光が射す

こんな子供だから手に入れたいと思うのだ

だけど、こんな子供だから手に入れる事が出来ないのだと


「・・・貴方には本当に敵いませんね」
ランシーンは笑いながら話す

子供の纏う風はとても優しく
ランシーンに届いていた。


おしまい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あとがき

なんかよくわからない話になりました
寝てる子供にちゅうしてますランシーン
何回か読み直したけどちょっと意味が解るのか心配
文章力無さ過ぎです自分 ごめんなさい(汗)