▼子供の特権 2(グリディノ)


今は運転手も居ない状態なので車も無理
そのため歩きで学校へ向かうディーノ
段々暗くなってきているので出来るだけ早足で向かう
普段なら薔薇状態のグリードーを必ず胸に付けているのに
今日は一人
自宅以外の場所を自分は一人で走っている
たった一人がこんなに寂しくて怖い物だとは思わなかった

昔は一人で居るのは平気だった
それが当たり前だった・・・・

「僕は弱くなってしまったんだろうか・・・・・」
ディーノは走りながら一人で呟いていた


学校に着いて
自分の教室へ向かう

学校には生徒はほとんど帰宅していて
先生が職員室に居る程度だ

職員室の明かりはついているが
教室は薄暗い

肩で息をしながら教室のドアを開く

自分の机の中を探して
宿題のプリントを見つける

「あった・・・・」

「ちょっと折れ目つくけど仕方ないな」
それを手にしてプリントを4つに折ってポケットに入れる

そして来た時と同じペースで再び走り出した

教室を出て学校の門に向かう
門に差し掛かった時だった

ブワッっと目の前の空気が渦巻き
大きな何かが自分の目の前にドスンッと着地する音が聞こえた

その大きな何かとは・・・・

「グリードー・・・?」
少し驚いた目でグリードーを見るディーノ

黙ってディーノを見つめるグリードー
微妙に仁王立ちである

(え?グリードー怒ってる?)
グリードーの顔を見て一瞬そんな事を思う
それほど鬼気迫る顔をしていたのだ

しかし
「はあああ〜・・・・・」
っとその顔を緩めて
大きく安堵のため息をつくグリードー

「グ・・グリードー??」
そのため息にさらに驚いた目になる

「コラ!ディーノ!なんで黙って外に出てるんだ?」
「心配するじゃねぇか!!」

「え?」

「おっ母さんの料理終わらせて」
「気がついたらお前の・・・サーガの気配が消えてるじゃねぇか」

「一瞬なにかあったのか?って慌ててお前の気配探したら」
「ものすごく遠くにあるもんだから攫われでもしたのかって・・・」
そして一息ついて
「お前の元気な姿見るまで気が気じゃなかったぜ!!」


グリードーを見つめたまま
「心配・・・・してたんだ・・・・」
ディーノがぽつりと呟く

「当たり前じゃねぇか!!」
すぐにそれに対して答えを返すグリードー


ディーノはグリードーから視線を外して話す
「だって・・・忙しそうだから・・・邪魔しちゃ悪いし」

「別に・・・ここに来るのも一人でも平気だし・・・」

「寂しく・・・・ないから・・・」

そう言ったとたんグリードーの大きな腕に抱き締められていた

「・・・グリードー?」
ディーノは上を向いてグリードーを見つめる

「何が『寂しくない』だ、じゃあ何で泣いてるんだ?」

ディーノの瞳からは涙が零れていた
「あれ・・・?何でだろ・・」

グリードーはディーノを抱き締めたまま言う
「ディーノ、よく聞けよ?お前はまだ子供だ」

「強がる必要なんか無ぇんだ、寂しけりゃ『寂しい』と言えばいい」

「怒ったり、泣いたり、感情を出せばいい、それは子供の特権だ」

「大人になったら嫌でも我慢しなきゃならねぇ時もある」

「我侭なんて言えない時もある」

「だが、まだお前にはそれは早すぎる、今のうちに精一杯我侭を言って」

「駄々をこねて、色々な人との付き合いを学んで」

「・・・・・そして大人になっていけばいいんだ・・・・」
グリードーの大きな手がディーノを頭を撫でる

ディーノは黙って聞いていた

そしてしばらくして
「グリードー・・・」
とディーノが話しかける

「なんだ?」

「ココは学校の門だから・・・帰りながら話そうよ」

「・・・・・そうだな」
グリードーは優しくディーノを背に乗せ
地を蹴り飛び立った

マンハッタンの夜空を炎の竜が飛ぶ
淡く赤く光るその姿はまさに伝説の生き物といわれる程の神々しさを放っている


しばらくしてグリードーの背中でディーノが口を開いた
「・・・・グリードー最近忙しくて、僕とあんまり話してくれなかったよね」

「ああ、そうだな」

「それは僕の家の事考えての事だって解ってたから、ずっと言わなかったんだ」

「・・・・・・」

「でも本当はすごく寂しくて・・・悲しくて・・・」
「もっといっぱい話ししたくて・・・・」
グリードーの背に、服に水滴がぱたぱたと落ちる
ディーノは声を殺して泣いていた

空を飛びながら横目でディーノを見つめ
「・・・・・寂しい思いさせて悪かったな」
そう呟くグリードー
「これからは俺も出来るだけ寂しい思いさせないように頑張るからよ」

「うん・・・ありがとう」
目を擦りながら返事をするディーノ

そんなディーノの姿を見ながらグリードーは
何か思い立ったように話しかける
「今日はこのまましばらく空の上で散歩でもするか?」

「いいの?」

「いいぜ!」
「最近忙しくて一緒に散歩なんて行ってなかったろ?」

「じゃあ、行く!」

グリードーがフッと笑う
「じゃあ、行くからな!しっかり掴まってるんだぞ!ディーノ」

「うん!」

炎の翼が大きく羽ばたく
その炎は暖かく優しい

「また、時々こうやって空を飛んでくれる?」
笑いながらディーノが言う

「好きなだけ言えばいい、連れて行ってやるよ」
笑顔のディーノを見つめグリードーもそう言う


これからもグリードーは家の用事を手伝うと思う

でももう寂しいとは思わない

グリードーの気持ちが解ったから

もう待っていられると思う

寂しくなったら我侭を言えばいい

我慢なんてしない

強がらない

それが僕の『子供の特権』なんだから



おしまい


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あとがき

初のグリディノです
なんか性格ちょっと違〜う(笑)
イメージ壊してスイマセン!!(平謝り)
うちのトコのGWニコルは働き者です
ってか私がいい大人(?)が働きもしないで
ゴロゴロしてんな!って言いたいから(爆)

ちなみにシロンさんも一応家の手伝いをさり気にしてます
ランシーンさんはまだDWCに残って時々仕事してます
一番お金持ちなのはランシーンさん

てかお金もないのに『ワニの穴』行けないでしょ!
お前らもしかしてお小遣いですか?って疑問があったから(笑)

ってな訳で結構ドキドキしてます
変なお話ですいません(平謝り)

2竜とグリさんの飛び方の違いを表現したかったけど
全然出来ませんでした(TT)

読んでくれてありがとうございます。