▼香の標 2(ウォルシュウ)



そして夜


仕事も終わらせてウォルフィーはスパークス家に帰宅していた
晩御飯も終わり、くつろぎの時間を味わっている

グリードーはディーノと話をしながら寛いで

自分とリーオンはコーヒーを飲んでいた

そしてリーオンの異変に気付く
「・・・・・?どうした??リーオン」

明らかに様子がおかしい
顔色が悪く震えている

「あ・・・イヤ何でもないよ・・・」
そう言いながらも声はかなり怯えているリーオン

「何でも無いって事はないだろ?」
「顔色悪すぎじゃないか」
ウォルフィーは言う

しばらく考えながら・・・
「・・・・風が・・・おかしいんだ・・・」
リーオンが呟く

「おかしい?」

「なんつうか・・・怖い」
「昼までの穏やかな感じじゃなくて・・・悲鳴をあげてる・・・って言うのか・・・」

リーオンは風属性
風に関しては自分達には感じないものでも
多分いち早く察知出来るのかもしれない

「風が・・・怖い・・・?」
そうリーオンの言葉を反復しながらウォルフィーは
2竜とシュウの顔を思い浮かべる


その瞬間

ゴウ!!っという轟音と共に
一気に全ての窓がバン!!と風で開く

部屋の中で風が渦を巻く

「「な・・・なんだ!!」」
驚くグリードーとウォルフィー
グリードーは咄嗟にディーノを抱きかかえ

リーオンは怯えるようにテーブルの下へ駆け込む

ウォルフィーは窓の方を見据える

そこには2つの影

シロンとランシーンだった

部屋の中に白と黒の羽根が舞う

「あいつが・・・・消えちまった・・・」
搾り出すようなシロンの声

「ここに・・・サーガはいませんか?」
ランシーンは聞く

明らかに2竜の様子はおかしい
平静を装っている様でも
今2竜の精神状態はまともじゃなかった
目つきと顔つきがそれを物語っている

「サーガに・・・何かあったのか?」
グリードーが聞く

カッと2竜がグリードーを睨む
その強い視線に思わず後ずさるグリードー

しばらくして2竜はグリードーから視線を外す

「・・・・いや、いねぇんならいいわ・・・・」

「失礼いたしました・・・」

2竜はそう言うと再びそこから飛び立ち
2手に分かれるように別々の方向へ飛んでいった

それを見つめながらグリードーは言う
「やべぇな・・・・」

「そうだな」
ウォルフィーも頷く

「やばい?」
ディーノが聞く

「あいつらの目、まともじゃねぇ」
「1歩間違ったらレジェンズウォーが起こりかねないくらいの雰囲気だ」
「早くサーガ見つけないと大変な事になるぞ」
グリードが舌打ちをしながら言う

それほどまでに風と空気が張り詰めているのだ
此処までくると属性の違う自分達でも解る

「でも・・・それすごく難しいと思う」
後ろからぽそりとリーオンが言う

リーオンに全員の視線が集まる

「今・・・サーガの風を感じないんだよ」
「多分あいつらも風を感じないから見つけられないんだと思う」
「あいつらが見つけられないのにどうやって俺達が探すんだよ・・・」

風属性のリーオンがいう事だ、間違いはない
そして今この状況がどれほど悪い状況なのかも1番感じているのはリーオンだ

「俺、心当たりがあるからちょっとそこ探してくるわ!」
ウォルフィーは言うが早いか直ぐに走り出していた