漆器の取扱いについて
◆◆◆漆器の取扱いについて◆◆◆


★最初に漆器は陶器のような無機質が材料ではなく、ほとんどが有機質の材料から作られていますので、表面硬度は陶磁器にはるかに劣りますし、温度や湿度の変化を陶磁器よりはるかに多く受けますので、陶磁器より取扱いが面倒なのは当然なのですが、使い手は使いやすさを考えるとき、どうしても漆器を陶磁器と同じ食器としての単なる比較論で見てしまいがちです。数では陶磁器が圧倒的に多いため、しかたのないことですが、以下のようなちょっとした気遣いが、漆器を長持ちさせ暮らしを少し楽しませてくれます。


★電子レンジには間違っても入れないでください。一回で御臨終です。(熱による木の収縮膨張で割れたりヒビが入ったりします。)、また温度変化の激しいものには入れないようにしましょう。


★本物は中は木ですので、温度や湿度の変化により、ほんのわずかな不均一な収縮膨張があります。そのため極端に熱いもの(沸騰したもの等)は、入れないほうが無難です。熱で木が動いて漆塗膜にヒビが入ることがあります。また、エアコンの効いた部屋の天袋など、乾燥しやすい場所に保管するのもなるべく避けたほうが良いです。乾燥により木が収縮してヒビが入ることがあります。


★漆は紫外線に弱いので、日光のあたる場所には置かないでください。しかし最近は紫外線に強い漆もあるようです。


★陶磁器を乗せるときは、陶磁器の底を水ペーパーで滑らかにしてから使用し、引きずらないようにしてください。


★漆器を洗うときは長時間水やお湯に入れたままにしないでください。(傷があったりすると水がしみこんで剥がれることがあります。)陶磁器とは別にして、柔らかいスポンジ等でクレンザーの入っていない洗剤で洗ってください。そして水分を拭きとって自然乾燥させてください。(食洗機は使用しないほうがよいですが、最近は使える漆器もあるようです。)


★上記のように漆器は取扱いが面倒くさいと思われるでしょうが、電化製品も取扱い説明書を読んで使用すれば故障が少ないように、漆器もルールを守ればそう簡単に壊れるものではありません。しかしながらルールばかりでも肩がこるでしょうから、最低限のルールを守って形あるものいずれ・・・・の気持ちで気軽に楽しく使っていただければ幸いと思います。そしてまた現代人が忘れかけている物を大切に使う、感謝するという基本的な精神性を、本当の意味で再認識していただければと思います。