▽過去の詩集 第1期:名前の無い詩81-100
▽第1期:名前の無い詩 81凪ぐ風を再びと
願うは傲慢と言うか
乞うて揺るがぬ意志は
それ程美しいものか
子の様に矢継ぎ早に問う姿
そっと笑む貴女の表情の意味は
2007/9/30(日) 17:36
▽第1期:名前の無い詩 82
闇よ闇よ、闇よりの死者そして使者
出でませよ出でませよ
鉄の扉を開くまま
石の窓を開け放つ
夜の魔よ、魔にきわむ者達
出でませよ出でませよ
銀の剣を研ぐまま
罪の礎を解き放つ
2007/9/30(日) 17:36
▽第1期:名前の無い詩 83
兆すを記す
名指すは貴方
そうと知らねば行かぬものを
仇なすを示す
指差すは彼方
そうと知らねば突き落とせたものを
悔恨の回想に果てを書き加えよ
失意の思想に甘言を混ぜ合わせよ
2007/9/30(日) 17:37
▽第1期:名前の無い詩 84
芳しき花園は後方にあり
倦ねる名残は前方にあり
右に追憶 左に来夜
天に縢り 地に抗い
世よりの乖離は自己への道
穿つ氷の欠片を炙るよう
2007/9/30(日) 17:37
▽第1期:名前の無い詩 85
仄かな闇に埋もれし
遙かな地に辿り着かんと
雲に追走 果てに付き添う
鏡の中で故郷を歌うように
華やかの脆さを知る
飾りの己に絶望をと
悪魔に救済 終わりを告げられ
個の世界の狭間を見るように
2007/9/30(日) 17:38
▽第1期:名前の無い詩 86
爪で抉りましょ
皮膚を肉を筋を骨を
ナイフで削りましょ
肌を血管を細やかな細胞まで
傷の数え歌は何時まで続く
死のカウンターは何時止まる
微風に混ざる腐臭も
赤黒に染める血液も
武器に付いた悲壮も
血肉に群がる鳥々も
貴方には玩具でしかないのですか?
2007/9/30(日) 17:38
▽第1期:名前の無い詩 87
纏められた糸のよう
絡められた紐のよう
首吊りの木に罪はあるかと問おう
絞首刑の道具に罰は存在するか問おう
ただ問うのみ 答えは虚空に
探した後のような
気付く前のような
追憶の術に何を問いかける
推測の仕方にそれらを願う
2007/9/30(日) 17:39
▽第1期:名前の無い詩 88
小さく呟いて
知らぬは過ち
知るは不可能
屈んで見渡す
気付くのは罰
気付かぬは貢
割いて手渡す
戴くのは義務
戴かぬは矛盾
我に何を求める
2007/9/30(日) 17:39
▽第1期:名前の無い詩 89
寡言に雫の紬歌
開かぬ口に湿らせて
やがて旋律の情
多言に砂の解き方
閉じぬ口に乾かせて
そして用法の手綱
縋れる物を 突き放す者を
誰が咎めよう
業は己に還るのだから
2007/9/30(日) 17:40
▽第1期:名前の無い詩 90
望郷せども故郷覚えず
思考せども理由覚えず
手繰り寄せた紐の先には
逆さの針
押して遠ざけた箱の横には
歪の木馬
忘却すれども記憶還る
懇願すれども希望叶わず
2007/9/30(日) 17:40
▽第1期:名前の無い詩 91
討っ手の宵は
狩り人の痣
斑の藪の血の筋の
追い逃げ避け寄り
不可思議の夢
兎の免れの夢
日が月が地が空が
凪ぐ告ぐ直ぐ漕ぐ
このてでそぐとしよう
2007/9/30(日) 17:46
▽第1期:名前の無い詩 92
散歩道に傍ら
寂しさは傍ら
寄り添うのは
拠り所無き心
願わくば
暖かみを
灯り無き此処
悲しみは此処
飾り付けるは
孤高を装う心
2007/10/9(火) 18:46
▽第1期:名前の無い詩 93
くるりと回れ
悪夢の逆夢と在れ
くるりと翻す
正夢の夢に苦味を
永き眠りに現
長き覚醒に夢
2007/10/9(火) 18:47
▽第1期:名前の無い詩 94
空白に埋めるは
日蝕
竈に焼き入れるは
月蝕
漣に潜らすは
感触
街灯に掲げるは
原色
無我に水差すは
装飾
山茶花の行く先は
燭台の火
2007/10/9(火) 18:47
▽第1期:名前の無い詩 95
兎の毛皮に
兎の血肉に
鋏で喰い千切る
抉り取られても
貴方ならば罪よりも
むしろ私が贖罪を
罠の食い込みに
罠の滲む血筋に
この手で取り去る
罪人が救うことを
許されるならば
摂理すらも冒涜しよう
2007/10/9(火) 18:47
▽第1期:名前の無い詩 96
子がなぞる蟻の筋を
指先はなぞる
死に筋を辿る様に
童が口ずさむ歌は
喉元からせり上がる
生き筋を見失わない様に
草原を撫でる風は
筋を僅かに示す
標で有れ
2007/10/9(火) 18:48
▽第1期:名前の無い詩 97
忘却の部屋
苦い記憶を置いてけぼりに
追憶の部屋
甘い記憶を置き土産のように
貴方の忘却の部屋は右?
それとも左?
貴女の追憶の部屋は右?
それとも左?
手探りで得た取っ手は
さぁどっち?
2007/10/9(火) 18:48
▽第1期:名前の無い詩 98
花籠に混ぜた毒針
恨みつらみ載せて
痛く深く突き刺す
クルシミヲミセタマエ
浜辺に残した短剣
恨みつらみ乗せて
広く剥ぐ人の皮膚
ニクシミヲショウカサセタマエ
2007/10/9(火) 18:49
▽第1期:名前の無い詩 99
燕に籠 飛翔に監獄
檻に突きつける刃こぼれの剣
氷の弾き音
犬に鎖 快走に戒め
鉄屑に掛ける綻びの布
凍てつきの音
手懸かりはただ一つの選択肢
2007/10/9(火) 18:49
▽第1期:名前の無い詩 100
四は天地
十二は時
三十六は橋
四十八は言葉
全てが百で在るならば。
2007/10/9(火) 18:49
2011/12/8(木) 01:24