・生きる夜
今日もまた繰り返す
終わりのない過ち
其れはふとした瞬間なんの切っ掛けもなく訪れる
気づいたのはもう何年も昔
私が生きる限り抗えない記憶
深夜暗がりの中で突然目を覚ます
震える声を殺して
五月蠅いくらいに響く鼓動を
どれだけ息を吐いても無意味だと言わんばかりに肺に吸い込まれる酸素を
爪が食い込むほどに強く握った両手に抑え込んで
また独りで泣いている
一度呼び起こされた記憶は何日も消えることなく頭の中にこびり付いて
忘れる事は罪だとでも云う様に私を呪って離さない
いつしか誰かが云っていた気がする
人は皆仮定した未来のために生きていると
何故今を生きようとしないのかと
それは確かに正しいのかもしれない
仮定した未来の為に生きるのであれば
人が生きるも死ぬも何の意味もなくなってしまうのかもしれない
それでもそれを理解した上で
私はもう何年も昔、抗えない記憶を手にした時から
死ぬ為だけに生きている