▼それ、私

もう遠くに行きすぎて届かないもの

望遠鏡を覗いたって何も見えやしない

寂しいふりをして歩いた帰り道は

どことなく雨が降ってきそうな予感がした


触ることは最初から出来なかったんだ

手にとって目で見て抱きしめて足で踏みつけて

分かる在る大切にする壊す

そんな選択肢も与えられていなかった

最初からきっと無かったんだよなんて

言い訳を何度も何度も並べて

僕にはそんな権利すらないんだから

嘘吐いちゃいけないよ


初めて友達らしい人と友達らしく挨拶が出来た日

バイバイと笑って手を振ったそれ私

もうそんな僕なんかいない何処を捜したって見つからない

とっくの昔に死んでしまったんだ

変わるってそういうことだろう?と今の僕

仲良しのふりをした知らない人の「またね」という声にちょっと笑った

やっぱり帰り道は雨が降りそうだった

傘なんか持って無くてそれで良かった

もし打たれなくていい雨に打たれ続けたら

僕は許されるのかなぁ

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