▼二重

私は過去から順に忘れます

私はだから苦しみを知りません

私はいつか苦しんでいたような気がします

ですが、はっきりとは思い出すことが出来ません


何だろうなぁ最近になって

生活が目まぐるしく変わっていく

夢への往復切符なんかも手に入れてしまったし

そこそこ周囲は愉快だし


私は疲れ果てては笑います

私は自分が素直に楽しんでいるという認識をすることによって困ります

私は何処かに常に歪みを抱えていなければいけません

いや、抱えていたいのかも知れません


これもあれもみんな保険だった

控えめな態度も他人に話しかけないのも

意見に多分を付けるのを忘れないのも

謝ってばかりいるのも


もしも図々しいと思われたら

自分が間違っていて非難されたら

誰かが僕のせいで傷付いていたら


ただ、それはみんな僕自身のことだった

僕が、みんなを図々しいと思っていて

僕が、みんなを間違っていると非難していて

僕が、誰かのせいで傷付いていて


何処かが歪んでいた、視力や、ましてや眼鏡のせいでもなく、

自分を通して向こう側を見ていた

僕と貴方達との境界線が遠く険しく歪められていた

一番歪んでいるのは僕だったんだ、それに気付いても知らんぷり、


私は過去を忘れたくありません

私は苦しみを覚えていたいのです、それでも楽しかった事も忘れたくは無いのです

私は自分が完全に幸せになることを許しません

私は歪みを持ってこそ、「楽しい」を経験しても良いのです

私は全てを知っていて、僕は何も分かっていない


何処かが絶対的に歪んでいた、それが、例え、僕の部分でも、

僕は歪んでいると言い張るんだろうなぁ、


私は僕から順に忘れます

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