▼第三章
「魔法少女リリカルなのはStrikerS 外伝 Immortality Emperor」今日は、なのはキャラの登場が少ないよ!
前半しか出てこないし…(;・ω・)
第三章「老王の鼓動」
左腕の激痛の後、アルは仕事場に戻り書類を片付けていた。
書類とは言え、モニターに映されている書類の事。
ただ淡々とパネルを叩き、書類を片付ける。
だが、彼は先ほど起きた激痛の事で頭が一杯だった…
そして一方、フェイトは無限書庫を訪れていた。
扉を開け、無重力空間に身を投じ、中で本を整理している一人の青年に近寄る。
「ユーノ。」
フェイトは、ユーノの名を呼び側に寄ると肩を借りて静止した。
「ぁ、フェイト。どうしたの?急に。」
「うん、ちょっと調べて物。」
名を呼ばれ、振り返りるユーノ。
そして、用件を伺う。
「……老王について、調べて欲しいの。」
フェイトから出た言葉は、アル達が引き継いでいるあの老王だった。
「老王って、あの?」
あまりの驚きに驚きを隠せない。
まさか、フェイトからそんな言葉が出るとは思わなかったからである。
「うん。…いいかな?」
少し戸惑った表情を見せながら頼む。
「うん。別に良いけど、老王の資料はまだ見た事が無いんだ。だから、見つかるかどうか…」
自分が無限書庫で働き始めてから、老王について依頼された事は無い。
ましてや、自分から調べた事すらない。
それに、老王と言えば魔界という特別な場所にある特別な物。
そんな、物について資料があるとユーノ自身、あるとは思えなかった。
「見つからなかったら良いの。また来るね。」
そう言い、彼の側から離れ無限書庫から去ろうとしたとき。
「フェイト!」
ふと突然、ユーノがフェイトを呼び止める。
フェイトは、少し驚いた感じに身体を止め、振り返る。
「何か、あった?」
心配そうな聞くユーノ。
「ううん。大丈夫だよ。」
と、フェイトは笑顔で応える。
そして、またね。と言い無限書庫を去っていった。
「フェイト…」
─────ミッドチルダ 喫茶店──
ミッドのとある喫茶店で、ワタルと羽は居た。
店内のカウンターに座っている。
「ワタルさん、仕事はどうなんですか?」
メニューを見ながら、ワタルに尋ねる羽。
「仕事?仕事なんてしていないぞ。あれ以来、俺は色んな世界を転々とし、たまたま数週間前にミッドに帰って、また暮らしているだけだ。」
「では、またミッドから離れてしまうですか?」
「いや、仕事がつい前に入った。正直、あまりやる気が起きない仕事でな。」
と、嫌々そうな表情でメニューを見つめるワタル。
「何か、嫌な任務でも?」
頭を傾げながら尋ねる羽。
「予想だけど、な。」
そう言い、メニューを閉じたワタル。
すると、後ろから店員が歩み寄ってくる。
「ご注文は、どう致しましょう?」
笑顔で尋ねる店員。
「えっと、ミルクティーで。」
羽は、メニューを見つめながら注文した。
「レモンティーを。」
「承りました。」
そう言い、軽く会釈をしてその場から去る店員。
「ところで、お前の仕事はどうなんだ?」
「ぼ、僕ですか?まだ、あまり仕事は…」
突然、自分の事を聞かれ驚く羽。
仕事に関しては、なんともいえない様子を見せる。
それを聞いたワタルは、ふと呟く。
「なら、俺が仕事に行っている間。お前が俺の仕事をしろ。」
それを聞いた羽は、時が止まったようにワタルを見つめたまま固まってしまった。
そして、少し経つと…
「えぇ!?僕がワタルさんの仕事を?」
「冗談だ、冗談。お前にはまだ無理だろ。色んな意味でな。」
驚いて動揺している羽を少々笑いながら茶化す。
それに、冗談とは言え彼に仕事をさせる気なんて全くなかった。
「それに、俺の仕事なんてろくでもないものだから、止めとけ…」
そう言い、突然席を外すワタル。
「どうしたんですか?」
突然、予想外の行動に少し驚いた表情で尋ねる。
「通信だ。すぐ戻る。」
そう言い、一旦店を後にしたワタル。
その後ろを姿を見つめる羽。
「師匠、変わり無いなぁ〜」
久しぶりの再開と変わらないワタルに、ほっと笑みを浮かべる羽であった。
─────Devil Tear──
ミッド中区画の道路沿いに、その店はある。
バー「Devil Tear」。
そのバーの店長をしているのが、死神レキ。
普段、昼間は開いていなのにも関わらず、今日に限って開店している。
その店内に、レキともう一人、男がカウンターに座っていた。
「…元気ないな。どうした?」
カウンターに肘をつけ、手のひらで顎を支えながら男に尋ねる。
「…老王についてな。」
その男は、アルだった。
暗い表情をし、左腕を右手でゆっくりと撫でながら呟く。
すると、レキは席から立つと私服の内ポケットにしまっていたダーツを一歩取り出す。
そして、壁に掛けていたダーツボードの前に立つと、それを軽く投げる。
「なら、少し面白い話をしてやろう。」
ダーツを投げ終えると、アルの方を顔を向けてそう呟いた。
レキが言った面白い話。アルには何のことか分からず、頭を傾げる。
続いて、レキは内ポケットからダーツを取り出す。
そして、先ほど同様ダーツボードに向けてダーツを放つ。
「ある未登録世界で、老王に関する情報を入手したとの情報が管理局から回ってきた。」
「未登録世界?魔界じゃないのか?」
尋ねるアルだが、レキは首を横に振りながらダーツボードに近寄り、刺さっているダーツを抜く。
元の位置に戻り、再びダーツを放ちながら呟く。
「エイムズというとても小さな世界らしい。後日、調査に行く。」
「エイムズ…」
だが、アルはその話に疑問を持った。
老王に関する情報。老王という存在自体タブーとされているのにも関わらず、何故管理局からその情報が回ってきたのか…
「レキ。その老王に関する情報。一体誰からだ?」
アルは、管理局からとは言え、誰かが背後にいると考えた。
それを聞いたレキは、一旦カウンターに戻る。
カウンターを身を乗り出してアルに近寄る。
「匿名だ。」
「匿名!?そんな情報を信じるお前ではないはず!」
匿名。自分の実名・正体を明かさない為に使うもの。
相手にとって、自分の正体が知られるわけにはいかない事を意味する。
そして、匿名を信じるレキに対して驚きが隠せなかった。
仕事上、彼は暗殺を取り扱っているが、必ず本名、性別、住所など様々な情報を得て初めて仕事を了承する。
そんな彼が、たかが匿名の情報を信じるとは思えなかった。
「いや、騎士ヒカリにその情報について話をしたんだ。そしたら…」
「んー、まだ信用するとまでは行かないけど、一度そのエイムズという場所に行ってみたら?」
「と、言われた…」
ヒカリの応えに、アルは呆れ顔でため息を漏らす。
「それで、今度調査に行くという訳か。」
「そういう事だ。どうだ、あんたも行くか?」
レキの誘いに正直、驚いた。
普段、レキとは深い関係とは言え、そんな誘いは一切無かった。
何故なら、彼との関係があるとは言え、戦いの中でのこと。
確かに、休養や調査任務としていく事は十分可能だ。
「良いだろう。予定が出来次第、こちらから連絡する。」
そう言い、アルは席を外し店を後にした。
そして、アルが店を出ようとした時、レキは内ポケットからダーツを取り出し、アルに向ける。
「その時は…後ろから、こうだ!クッククク…」
と、ダーツを放つ仕草をし、不気味な笑い声が小さく響いていた。
次回予告
第四章「エイムズ」
あとがき
どうも、レキ・ジェハードです。
今回もご愛読有難う御座います。
今回は、シグナム合同誌の締め切りもありまして、日曜日の更新となりました。
ですが、無事に更新出来たので何よりです。
書いていて気付いたのですが、やはりなのは本編ではないので、なのはキャラの出番が少なくなりますね。
連載前に言いましたが、これはオリキャラ要素を補う為のSSですからね。
どうも、オリキャラがメインなりますね。仕方ないです。
まぁ、次回はいよいよという感じですかな?
とにかく、次回をお楽しみです!