▼第四章 
「魔法少女リリカルなのはStrikerS 外伝 Immortality Emperor」


第四章「エイムズ」


あれから数日後。アルは本局の廊下をリンディとヘレンと共に歩いていた。

「ではリンディさん。僕達は此処で…」

左右に分かれる分かれ廊下に立ち止まり、リンディに別れを告げる。

「そう、分かったわ。それじゃあね。」

「失礼します。」 「失礼しまーす!」

軽く頭を下げるアルに対して、ヘレンは少し低く手を上げて手を振った。

それを見ると微笑し、笑顔で手を振って三人は左右に分かれた。

「アル、お昼食べない?」

「そうだな、小腹が空いたな…何か食べに行くか。」

うん。と言い、嬉しそうな笑顔で頷くヘレン。

すると、突然モニターが展開される。

「失礼します。アル=ヴァン三佐、面会者がいらっしゃってます。面会室にお願いします。」

「、了解した。今行く。」

モニターが閉じると、身体の向きを反転して面会室に向う。

それを見たヘレンは、驚きを隠せない。

「ねぇ、ご飯は!?」

「何を言っている。面会者が待っているんだ。飯より先だ。」

「ええぇぇー!」

アルの言葉に呆然と立ち尽くす。

だが、アルはそんな事を気にせず面会室へ急ぐ。

そして、突然立ち止まり、ヘレンに向えって振り返る。

「なら、一人でも食べてきたらどうだ。なに、すぐに終わる話だろう。」

「う、うん…」

涙目で声を少し震わせながら、ゆっくりと頷くヘレン。

そして、がっかりした表情で一人でその場を去っていった。

それを見たアルは、軽くため息をし、面会室へ急いだ。


─────時空管理局 本局 面会室──


扉の前に着き、立ち止まって面会室かどうか確認する。

そして、ゆっくりと足を踏み込んで扉が開く。

「ッ、アル。」

扉が開き、中に入ると一人の女性と局員の姿が。

局員は、アルと目を合わせて交代するように面会室を後にした。

「ヒカリ……何用だ?どうしてお前が此処にいる。」

そのに居たのは、魔界アルデバラン、代理魔界最高責任者を務めているヒカリ・グラリティの姿だった。

アルは疑問を持ちながら、席に座る。

「よく聞いて。……例の物が見つかったわ。」

「ッ!?」

その言葉を聞き、突然表情が強張る。

そして、ゆっくりヒカリは口を開く。

「詳しい事は私でも良く分からないの。保管されているのか、何者かが所持しているか…それとも…」

「そんな事はどうでも良い。場所は?」

何者が持っているか、どのように所持しているか自分には興味が無かった。

ただ、例の物がある場所が知りたかった。

「未登録世界。どんな世界はよく分からないわ。」

アルは先日はレキの話と重ね合わせた。

ヒカリが言う例の物。レキが話していた老王に関する情報。

そして、未登録世界。確かレキは、エイムズと呼んでいた。

二人の話は全く同じ事を指しているのではないか。彼はそう思った。

「まぁいい。いつ俺は、出発すれば良い?」

「待って、アル。それは後で話すわ。その前にちょっと……聞いて。」

ヒカリの話し方。少し戸惑いながら話す姿に疑問を持つ。

そして、腕を組んでヒカリが話すのを待った。

「今回のこの作戦……フェイト執務官にも協力して貰ったの。」

ヒカリの言葉に一瞬、耳を疑った。

だが、彼女からはハッキリとそう聞こえた。

フェイト執務官にも協力して貰った、と…

「……ふざけるなぁ!ヒカリ、それは一体どういう事だ!?あの事件以降(A,B事件)、魔界関連の事は、彼女らには巻き込まないってお前から言い出した事じゃないのか?俺も賛成した。何故、フェイトなんだ!他のなのはやはやてが駄目なら、うちらの騎士でやれば良いことだろ!」

ヒカリが話した事が信じられず、突然気を荒くして身を乗り出し、ヒカリに迫る。

気を荒くしたアルを見て、ただ俯く事しか出来なかった。

「…………もういい。」

そう言い、突然席を外すアル。

それを見たヒカリは驚いて慌てて立ち上がる。

「何処へ行くつもり!」

「……何処にも行かないよ。」

そう言い、アルは部屋を後にした。


そして、その頃フェイトは私室に居た。

だか、何故かフェイトの私室には死神兄弟も居る。

初対面なのにも関わらず、レキはソファーに座りながら、火が点いていないタバコを咥えて寛いでいる。

一方のワタルは、テーブル越しでフェイトと詳しく話しをしていた。

「今回の件ですが、まだ実物が見つかった訳ではありません。情報を入手しただけですので、今回はそれを確認する為の調査です。小さな世界ですので、一日で終わると思います。で、出航日などについては後日また連絡させていただきます。」

「はい、分かりました。有難う御座います。」

そして、ワタルが席を外し部屋を後にしようとした時。

突然扉が開く。

三人は何事かと、その扉の方を振り向く。

すると、そこにはアルの姿があった。

「アル…」 

「これは、これは…」

私室を見渡し、フェイトの方へ少しずつ歩み寄る。

少しずつ迫るアルを戸惑いながら、困った表情でちらほらアルを見るフェイト。

「フェイト。今回の任務、引き受けたのか?」

アルの質問にフェイトは答えることが出来なかった。

だが、既に応えは出ていた。

部屋に入った瞬間の光景。

ワタルとフェイトが直接会って話しており、その近くにレキも居た。

「どうしてだ?何故、引き受けたんだ?」

再び問うが、やはり答えは帰ってこない。

無理もない。あの時以来、ヒカリと話した通りの事をフェイト達に話して、彼女らの同意も得て決めた事。

だが、今回フェイトはそれを破った。

アルはそれが理解出来なかった。

「どうしてなんだ!」

耐え切れなくなり、怒鳴りつけるアル。

その声を聞き、身を竦める。

「既に決まった事だ。理由なんて、どうでも良い事だと思うけどな。それに、理由なんて後で聞けば良いだろ。何故、今聞く必要がある?見てみろよ。フェイト執務官、困ってるぜ?」

タバコを咥え、ソファーから立ち上がって話すレキ。

それを聞いたアルは、レキの方からフェイトの方を向くと彼女は身体を竦め、俯いていた。

「フェイト…」

こんな彼女を見たのは、かなり久しぶりであった。

あの時の彼女を思い出し、後悔が湧き出てくる。

「今、あんたはフェイト執務官と共に居るべきではないな。」

「ッ、何が言いたい!」

横で席に座りながら話すワタルにとっさに反応する。

すると、ワタルは席から立ち上がり、アルの背後にゆっくりと回る。

「女を悲しめるもんじゃないぜ。」

と、背後から耳元に口を近づけて、そっと呟いた。

その瞬間、アルは振り返ってワタルの胸倉を掴んで、壁に押し付ける。

「知ったようなを言うなぁ!」

「アル!」

突然のアルの行為に驚いて、立ち上がるフェイト。

だが、レキはその場から一歩も動かず、頭を掻きながらその様子を伺っていた。

「あぁん?何だ、今から殺ろうってか?Sランクが図に乗ってるんじゃねぇよ…」

今までの温和な瞳が、人間ではないよな狂気に満ちた瞳へと変貌する。

彼の死神が現れた瞬間だった。それを見たアルは、驚きを隠せず胸倉を掴んだまま動きを止めてしまう。

「やめて、二人共!」

フェイトが慌てて、二人のもとに駆け寄る。

そして、アルの身体を掴んで引っ張る。

動きを止めていたアルは、フェイトによりワタルの身体から離れていく。

突然、身体を引っ張られた事で驚き、慌てて振り返る。

すると、フェイトと眼が合ってしまう。

二人とも驚いた表情で見つめあう。

だが、アルは彼女の瞳を見続けることは出来なかった。

そして、彼女の身体を突き放して部屋を走り出て行ってしまった。

「兄貴、言い過ぎ。」

呆れた顔でソファーに再び座って呟く。

「…………ちっ!」

我に還ったワタルは、先ほど言った言葉に対して少し後悔を感じ、自分に対し舌打ちをする。

「……アル。」

身体を突き放され、出て行ってしまったアル。

彼女が見つめる先は、既に閉じられた部屋の扉だった。

亀裂が生じた二人の関係。そして、出て行ったアルは…




次回予告

第五章「汚れた王」







あとがき

どうも、こんばんわ。
今回もSSを読んで頂いて有難う御座います。
前回の更新以降、エピローグとして付け加えたのですが、実際書いてますと、エピローグとかいらないなぁ〜と思いましてw
結局、取っちゃいましたw( ;・ω・)
で、今回の内容でしたが、まだ第四章なのにこんなので良いのかなと思わせる展開ぶりでした。
某SSでは、ワタルが何故あれほどの強気な発言が出来る理由が書かれたりとしてますが、それは中盤あたりになれば分かると思いますw
弟君は、空気でしたね。微妙にw
にしても、今回フェイトをあんな風に書いたことですが、身体を竦めたりと昔を思い出すような気がしましたが、それは自分だけですかね?(汗
さてはて、今後はどうなるのやら…
次回をお楽しみですぅ〜!

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