▼第十二章 前編 

第十二章「全ては魔界の為に…。」

「影は微笑んでいます。自ら犯した事の数々に。そして王も笑いました。自分の無力さに…。」



ゲヘナ城門前


「…………。」

フェイトは、なのはを抱えたまま城門の前に佇んでいた。

「……ん、あの子は…。」

上空を航空していたレキは、城門前に居るフェイトを見つけ城門前に下りる。

「……ぁ。」

「フェイトちゃん、どうしたんだい。ッ!なのはちゃんか…。」

するとレキは、フェイトからなのはを抱きかかえる。

「ぇ ? 」

「フェイトちゃんは、王の間へ急ぐんだ!アルさんが順調に行けばもう付いているのかも知れない。だから!」

「でも…なのはが…。」

魔力の使いすぎで、気絶しているなのはを見ながら俯くフェイト。

「俺がアースラまで運ぼう。その後、追いかけるから。」

「良いんですか ? 」

レキの言葉に少し顔が晴れるフェイト。

「あぁ、任せとけ。こんなところに居たって意味ねーからな。」

そう言いなのはを抱きかかえて上昇するレキ。

「アルさんを手助けしてやってくれ!」

「はい!」

レキはそう言いアースラへ向った。フェイトは、急いで王の間へ急いだ。

「…………。(兄貴、まだなのか ? )」

「…………。(まだだ。奴め、ずっと俺に銃口向けてやがる…影転移でお前が来ても殺る前に頭撃ち抜かれるって。)」

念話でワタルと会話する。

「…………。(だけど、ずっとそこに居ても意味ねーぞ!)」

「…………。(大丈夫、きっとつかチャンスは来る。お前はさっさと用事を済ませて、いつでも俺の合図に答えられる様にとしくんだ!)」

「…………ちッ!(あいよ。)」

そして念話は切れた。

「なぁクロノ、こっちで本当に合っているのか ? 」

「あぁ、大丈夫だ。エイミィが既に構造の解析が出来ているから、ちゃんと通っていけば王の間へ着けるはずだ。」

城内の階段を上りながら話す、カレンとクロノ。

「にしても、シャドーの目的が全然分からない。どうして、ゲヘナを乗っ取ったんだ ? 」

「僕にも分からない。だが、奴がロストロギアで何か企んでいるという事だけは確かだ。」

アルは、ノワール達から少しばかり情報はあるが、クロノ達は全く情報がないのだ。

「とにかく今は、アルに合流しないと…。」

「そうだな…だが君はアルを呼び捨てで呼ぶんだな。」

渋い顔をしながら横目で言うクロノ。

「別に呼び捨てしたってどうなるかとかじゃないしな、アルも別に好きにしろって言ってるからね。」

「なるほど…。」

カレンの返事にクロノは素っ気無く返事をし、長い階段を上り続けた。

「はぁ…はぁ…」 「………ふ。」

傷だらけのシグナム、そして余裕の表情でニヤけるテイク・クライアント。

「やはり、その程度かシグナム…。」

「はぁ…くッ黙れ…。」

するとテイク・クライアントは突然、エクスキューショナーを腰に納刀する。

「何の真似だ……。」

膝を床に付け、レヴァンティンを杖代わりにしながら呟くシグナム。

「貴様と戦う意味が無くなった。お前なら、私を殺してくれると思ったんだがな…。」

「それは…どういう意味…だ ? 」

するとテイク・クライアントは、人差し指を十字に斬り次元空間を出す。
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