▼第十三章 前編 

第十三章「影と王」

「再び対峙した王と影。この戦いの果ては…魔法少女リリカルなのはA's外伝始まります。」



アースラ医務室

「どうですかね ? 」

レキは、なのはを抱えてアースラに帰還していた。

「それなりに厳しいわ、なんとかしようとしてるけど…」

シャマルが険しい顔でヴィータの治療に当っている。

「ヴィータ…」

はやては椅子に座り、ヴィータをずっと見つめている。

「シグナムも大丈夫か ? 」

レキははやての後ろで佇むシグナムに声をかける。

「ああ、シャマルの治療魔法でなんとかなった。」

「そうか…しかし、今回はまずいな…」

レキが爪を噛みながら辺りを見回す。ベットで眠っているのは、ヴィータ、ユーノ、なのは。

「ところで、ワタルはどうした ? 」

「兄貴なら、今拘束されてる。心配するな、兄貴がそうそうやられる奴じゃない。」

シグナムがワタルについて聞くが、レキは素っ気無く余裕な表情で返答した。

「…さて、俺は兄貴の呼び出しがあるから失礼するよ。」

「ッ、待て私も出る。」

レキが医務室を後にしようとした時、シグナムがレキを追いかけようとした時。

「あんたはここに居ろ、ヴィータを見てやってくれ。それにザフィーラも居る。なんとかなるさ…。」

「…………。」

レキがそう言うとシグナムは何も言えなくなり、立ち止まってしまった。

「……じゃあな。」

レキは、少しシグナムを見つめ医務室を後にした。

「(兄貴、俺はいつでもOKだ。)」

「(正直、今すぐにでも影転移で来て欲しいものだ。)」

「なら呼べよ。」

「(呼べたら呼んでるよ…。)」

何故ワタルがレキを呼べない理由。それは……。

「この痛さはなんだよ…。」

アメリア・フールに拷問に逢っていた。アメリア・フールのティティオを顔面に殴りつけられ、辺りには血痕がある。

「どうせ、このままなんたは殺されるんだから何か吐きなさいよ!!」

「…………。(ありえね…これじゃあ作戦が狂う。)」

「(なるほど、ご苦労だね。)」

アースラ艦内を走り回り、ゲートに向っているレキ。

「(影転移は、一定時間魔力を展開しないと出来ないからな…。)」

「(いちいち説明はいらん。)」

「(そう言うな、だから俺が自力でこっちへ来い。そうすれば手っ取り早い。)」

レキは頭を書きながらめんどくさそうな表情で走っていた。

「(了解…)」

レキは念話でそう伝えると再び、ゲヘナの地へ降り立った。

「さぁてと、急ぎますか…」

そして、王の間では…

「ロード・オブ・ブレイカアァァァァ!」 「ロード・オブ・ブレイカアァァァァ!」

アルのロード・オブ・ブレイカーと完全体のシャドーのロード・オブ・ブレイカーがぶつかり合い相殺される。

「八倒鬼人斬倒!」 「気功遠閃弾!」

「ふっ」

ヘレンは、大剣を横へなぎ払い巨大な斬撃を放ち、リバルは空中から右手から気功の圧縮させたエネルギー弾を叩き込む。しかし、テイク・クライアントは余裕な表情な回避する。

「その程度か ? 」

テイク・クライアントは失笑し挑発する。

「ならこれならどうだぁ!老王!」

ヘレンは、右足の老王を発動させ「神速」でまさに神速の速さでテイク・クライアントに蹴りを叩き込もうとするが…。

「私の蹴りを避けた!? 」

「遅すぎる…」

「私が遅い!? 遅いだと ? 」 「ああ、遅すぎるよ…」

悔しそうに言うヘレンを口を三日月にしニヤけるテイク・クライアント。

「冗談じゃないよぉぉぉぉぉ!!」

右足を大きく床に叩きつけ、再び蹴りを叩き込もうと試すヘレン。

「ヘレン!ちッ…」

ヘレンの身勝手な行動に舌打ちをするリバル。魔法陣を展開させ、両腕の拳に気功を溜めテイク・クライアントに殴りかかる。

「……ふっ…ッ!? 」

テイク・クライアントが余裕な表情で避けようとするが、ヘレンの蹴りを避けた後リバルの拳がテイク・クライアントの頬に直撃し、壁へ吹き飛ばされる。

「リバル!? 」

「勝手な行動はするな!こっちもお前に合わせるのに一杯一杯だ。」

「ご、ごめん…」

リバルが怒鳴りつける。その表情は今までに無い恐ろしいほど怒りに満ちていた。

「……やるじゃないか。やっぱりそう来ないとな!」

テイク・クライアントはゆっくり立ち上がり、瓦礫を払いケラケラと笑顔を浮かべる。

「ヘレン、単体の攻撃は意味はない。上手く技を組み合わせて確実に当てていくぞ!」

「分かった!」

ヘレンは大剣を肩に担ぎ魔法陣を大きく展開させる。そしてリバルも気功を爆発させ、魔力を最大限に使う。

「エクスキューショナー!」

「甘いぞぉ!」

アルは、エクスキューショナーで数回斬りかかるが、シャドーの肩に生えているメタルなアームに掴まれてしまう。
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