▼第十三章 中編 2
「沈黙の死神!!」 「ここに参上!!」
そこには、ワタルとレキの姿があった。
「き、鬼人のワタル…」 「それに、豪速の…レキ」
「おやおや、アルちゃんがこの様かよ。」 「副隊長の方々もやられてるよ兄貴。」
ワタルとレキは平然と辺りを見回し、ニヤけている。
「ふん、レキ!アルさん達を頼む。」 「しょうがねーな!俺が帰ってくるまでには殺っとけよ ? 」
「……当たり前だ。」
ワタルは、眼を瞑りながらそう言うとレキは素早くアル、ヘレン、リバルを抱え王の間を後にした。
「逃すかぁ!」
テイク・クライアントがレキを追おうとするが。
「……行かせねーよ!」
ワタルが立ちはだかる。
「これ以上の虚勢はやめろ、クズが!」
「そうはいかねぇ!俺はあのガキでお調子者の王様がお気に入りなのさ。強い奴だ!この国を任せるに王に値する奴だ!そうだ、俺はついに見つけた!この国の真の王を!!」
「ああだがしかし、あのままの奴では俺らには勝てない!」
「んな事は分かってんだよ!このクズ野郎がぁ!!」
「……虫唾が走るな。」
テイク・クライアントの表情が険しくなる。
「なら一生走ってろ!行くぜぇクズ野郎ども!」
「「僕達もいるぞ!」」
すると、扉の向こうから2人の声が聞こえる。
「てめぇら…」
ワタルが後ろを振り向くと、そこにはクロノとカレンの姿があった。
「ふん、雑魚が集まっても俺達は倒せんよ!!」
「それはどうかな ? 行くぞ、デュランダル。」
「Ok,Boss.」
クロノはニヤながらデュランダルを起動させる。
「なら重力に押しつぶされて死ね!」
カレンはクロスレイスを砲撃形態オブセリオンフォームにし、さらにマナスアビリティを発動させた。
「「………ふふふ、来い!」」
そして、レキは…
「………死ぬんじゃねーぞ。絶対に……」
右腕でヘレンを、左腕でアルを、背中にはリバルを担いでアースラを目指した。
Devil Tearゲヘナ本店
「ッ!カリン殿、どうかなされましたか ? 」
店内ではザフィーラとカリン、避難民が居た。
「アースラにちょっと用事が出来た。お主も来るか ? 」
カリンはカウンターの下から杖を取り出す。
「あなたわお守りすることが私の務めですが、ここの方々が。」
「大丈夫じゃ、この特殊な結界はそうそう破れるものじゃない。それにすぐ済む事じゃ…あとあの電波も既に出ていないようだから…。」
カリンはそう言い、ゆっくりと店の扉へ向う。
「誰かが電波塔を破壊したとでも ? 」
「まぁ、そうとしか考えられんじゃろ。」
そう言いカリンは店の外に出て、アースラへゆっくりと向った。ザフィーラは、慌ててカリンの後を追った。
アースラ医務室
「……ぁ、リンディ提督。」
医務室に心配そうな表情で入ってくるリンディ。
「どうなの ? 」
「先ほど、なのはちゃんとユーノ君が目覚めましたがまだ、ヴィータが…」
なのはとユーノの方を見ると、起き上がって軽く会釈かるなのはとユーノ。
「深刻な状況ね、アル君達がなんとかしてくれれば良いんだけど…」
とアル達を頼るような発言をしたら…
「へ、その頼りにしていた王様はこの様だぜ ? 」
レキが重さでヘロヘロになりながらボロボロのアル達を運んできた。
「「「ッ!!? 」」」 「アル君!ヘレンさん、リバルさん!」
変わり果てた3人の姿を見た皆は、唖然した。
「シャマルさん、治療を頼む。」
と、3人をベットへ寝かせると…
「その必要はない…」 「ただいま戻りました。我主。」
「誰!? 」 「カリンさん!」 「……誰 ? 」 「ザフィーラ!!」
するとレキに続いてカリンとザフィーラの姿が。
「この人は、カリンさん。別に悪い人じやない。」
レキがカリンの説明をすると、カリンは黙々とベットに寝かせたアルの元に歩み寄る。
「レキ、あんた分かるね ? 」
「……俺の予想が合ってればね。」
「何をなさるんですか ? 」
はやてが不思議そうな顔で尋ねる。
「……魂の融合じゃ…そして、老王の本当の姿へ戻す。」
カリンはそう言った。そして、カリンはアルの懐から3つの宝玉を取り出す。
「これが、この国の運命を決める……。」
「なんなんですか、これは ? 」
なのはが尋ねる。
「これは三大騎士のリンカーコアの結晶体じゃ。」
「「三大騎士の…」」 「「リンカーコア ? 」」
「それってまさか!? 」
はやてが驚いたような顔で立ち上がる。
「そう、そのまさかじゃ…」
カリンは悲しそうな顔で答える。
「主はやて、まさか…」
シグナムもまさかのような顔で宝玉を見つめる。
「これは、ノワール、レイブン、ノインのリンカーコア、魂そのものじゃ。」
「「「ッ!!」」」
「そして今、その魂を王に還すのじゃ。」
王に還す、それは王アル=ヴァンのリンカーコアと融合するという意味だった。