▼第十三章 後編
「それによって、老王が本当の姿に戻ると ? 」
シグナムがカリンの元に近寄り、尋ねる。
「そうじゃ、そしてその力が無ければ…奴に勝つ事は無理じゃ。」
「という、兄貴でも勝てないとでも言うのか ? 」
レキが仰天したような顔で尋ねる。
「おいレキ、今シャドーと戦っているのはワタルなのか ? 」
「あぁ、本当だったら俺と兄貴で殺るつもりだったんだがアルがこの様だつたからな。だから今、兄貴がシャドー達と戦っている。」
「達 ? 」
シグナムは、レキが言っていた達に疑問を持った。
「そうだ、テイク・クライアント、バンプ・クライアントの姿もある。しかもバンプ・クライアントはシャドーと合体していやがる。」
「合体だと ? 」
するとはやてが立ち上がった。
「シグナム、行くで!」
「主はやて!? 」
突然はやてが出撃するという。シグナムは驚いた、これほど真剣な眼差しをしたはやてを見た事がなかった。
「そう急ぐな、夜天の王よ。この儀式が終われば、鉄槌の騎士も元に治るだろう。」
「何ぃ!? おい、カリンさん何言ってんだ ? 」
「何も知らない無知な死神は黙っとれ!」
カリンに怒鳴られ、仰天して何も言えなくなってしまった。
「まぁ見とれ…」
カリンがそう言うと、アルの胸に手を置くとアルの紅いリンカーコアがゆっくり出てくる。
「これが…」 「アルさんのリンカーコア。」
紅き輝きに見とれるユーとなのは。
「これからが本番じゃ…」
カリンがそう言うと、3つの宝玉を取り出しアルのリンカーコアの周りに浮かべる。
「天意転生…今ここに古き王を呼ぶことここにあり…」
カリンが呪文のような事を呟くと4つのリンカーコアが共鳴するように輝きだした。
「「「………………」」」
皆は、固唾を呑んで見守った。
「さぁ目覚めよ、これこそ老王の元の姿…三大騎士の魂が戻った時、その姿は目覚める。」
そして4つのリンカーコアが合わさり、黒きリンカーコアへと姿を変えた。
「ぉぉ…これが」 「黒くなった…ね。」 「……ぅん。」
「さぁ、目覚めよ王よ。報復の時間じゃ…」
そして黒きリンカーコアは、アルの胸に戻っていった。すると!
「ッ!!」
突然緑色の光が辺りを包む。それはアースラを越え、ゲヘナ全体へと広がった。
「うわぁ…」 「傷が治っていく…魔力も…」 「……ぅぅぁ……。」
そしてヴィータが眼を覚ます。
「ヴィータ!」 「おい、ヴィータ!」 「ヴィータちゃん!」
「あれ、何で皆居るんだ ? あれ、アルの野郎も居るじゃねーか。」
何も無かったような顔をし目覚めるヴィータ。
「貴様、心配したんだぞ!」
シグナムが胸倉を掴んで泣きそうな顔で怒鳴る。
「シグナム…そうか…悪かったな。それにはやて…」
「ええんよ、これでベルカの騎士は元通りや!」
「……ぅぅぁ……」 「……くぅ……」 「……………」
そして、アル、リバル、ヘレンも目覚める。
「アルさん!ヘレンさん!リバルさん!」
レキが慌てて身体を揺らす。
「ぁぁ、レキそんなに揺らすな…って此処はどこだ!? シャドーは ? 」
アルは、此処が何処なのか把握出来なく慌てる。
「ここは、アースラの医務室じゃないの ? 」
ヘレンがのん気そうな顔で目覚める。
「ッ!私は今まで…」
リバルも頭を抱えるように目覚める。
「皆元に戻ったんですね!」
なのはがベットから降りて駆け寄ってくる。
「ッ!感じる…ノワール、レイブン、ノインが…」
「私もです…」 「うん、私もだよ…」
自分達に感じる彼らの暖かさ、何かみなぎるような感じがした。
「アルさん、行けます ? 」
はやてが強気な顔でアルに尋ねる。
「はやて…ニィ、当たり前だ!借りを返しに行くぞ!!」
アルはそう言い医務室を後にした。
「アル殿、待たれい!」
カリンが呼び止める。
「何ですか、カリンママ ? 」
「これを持っていきなさい。」
そう言うとエクスキューショナーをアルに渡す。
「何故これを ? 」
不思議そうに尋ねる。
「三大騎士達からの贈り物じゃ…」
「カリンママ……有難う!皆、行くぞ!」
「「おう!」」 「「うん!」」 「ああ!」 「はい!」
医務室は、リンディとシャマル、ザフィーラ、カリンが残った。
「カリンさん、あなたは一体…」
リンディが尋ねると。
「あたいは、ただの物知り魔道師じゃ…」
カリンはそう言い残し医務室を後にした。
「シャマル、ここは任せた。」
「任せて、ザフィーラも気をつけて。」
「ああ。」
そしてザフィーラは、カリンの護衛の為に後を追った。
ついに次回、老王の逆襲が始まる!
次回予告
「一度は敗れ、老王を失ったアルだったがカリンの力によって再び老王を手にしたアル!そして老王の真の姿とは ? そして、次回影と老王の最後の戦いが始まる!待って居ろシャドー!この借りはきっちりと返させて貰うぜ!そして、ヴィータとシグナムを連れ夜天の王は、テイク・クライアントに挑むのであった。はやて達に勝ち目は… 次回魔法少女リリカルなのはA's外伝 聖なる鉄槌 この長かった影との戦いもようやく終焉を迎える…」