▼第十四章 前編
第十四章「聖なる鉄槌」
俺は思う。戦いとは何だ ? その果てに何がある ? 殺戮、虐殺、破壊、様々な事が横行する中で俺は……魔法少女リリカルなのはA's始まります。
ゲヘナ
「レキ、少し聞いて良いか ? 」
ゲヘナの街中を走りながら、ザフィーラがレキに話しかける。
「何か ? 」
前を真っ直ぐ見つめながら耳を傾けるレキ。
「カリン殿から聞いた話だが、あの特殊な電波が消えたと言っていた。お前はどうやったんだ ? 」
するとレキは、ニコっと微笑みながら話し始めた。
「……別に特別な事はしてないよ。ただ王の間に行くまでの間に、電波塔がある下水道に向って兄貴を助けただけさ。」
数時間前
「…………。」
「…けッ随分と口が堅いわね。なら、命令が下るまで黙ってなさい!」
アメリア・フールは、俯いて何も言わないワタルを見下しながら溝に蹴りを入れる。
「グフッ……」
静かに耐えるワタル。すると遠くから足音が。
「随分と俺のマイブラザーをいじめてくれたな!」
「あ、あんたは!? 」
「遅すぎるぜ、マイブラザー…」
突然、前回の戦いで敗れたレキの姿を見て仰天するアメリア。
「兄貴!」
レキが叫ぶと、ワタルは腕に力を入れてバインドを破る。
「しまッ」
「俺の速さは知覚出来んさ…」
既にアメリアの背後にはワタルの姿が、そしてアメリアに永遠の眠りをお返しした。
「遅すぎるぞ、レキ。」
呆れた顔で顔を拭うワタル。
「あんたの速さの感覚がおかしいんだよ。これでも急いできたんだ、ありがたく思え。」
「ふん、まぁいい。王の間へ急ぐぞ。」
「了解!!」
ゲヘナ
「という事になったんだ。」
「なるほど、さすがと言うべきか…」
レキの説明を受け、唖然とするザフィーラ。
「それより、フェイトちやんの姿が無かったな…」
「何ぃ!? 」
レキの言葉に眼を丸くして叫ぶアル。
「おい、貴様!フェイトを見なかっただと ? フェイトはどこだあぁぁぁぁぁぁ!!」
「ア、アルさん落ち着いて!」
なのはがアルの背中を掴みながら抑える。
「はぁ…はぁ…なら俺が城を全部最速で探索して見つけ出してやる…」
息を荒くしながら冷静を取り戻そうとするアル。しかし、その目付きは人間の眼をしていなかった…
「なら私が行くって!」
ヘレンがウインクしながら言う。
「うるせぇ!城の中は魔物だらけだ!もしの事があったら…」
すると軽く頭を叩かれる。
「あんたにはシャドーとの決着が残ってるでしょ ? 私の老王ですぐ見つけてすぐ追いつくから、先に行きなって!」
「……ヘレン。」
軽く頭を叩かれ、我に返るアル。
「リバル、またね♪」
「あぁ、頼むぞ!」 「お願いします、ヘレンさん!」
「うん、なのはちゃんも頑張るんだよ!」
ヘレンはそう言うと老王をビースト化し「神速」の能力を使い、ゲヘナ城へ先に向った。
王の間
「ん〜参ったね。」
「ワタルさん、これじゃ僕らがやられるのも時間も問題ですよ!」 「ワタルさん、あんたなら何か考えているんでしょ ? 」
一方、王の間ではシャドーとテイク・クライアントとの激闘が繰り広げられていた。
「さすが鬼人のワタル。だが、これがある限り我らはいくらでも蘇る!」
シャドーはケラケラ笑いながら懐から水色の宝玉を取り出し、見せ付ける。
「シャドー、ベルカの騎士が来る。俺は出向いてくる。」
「ふん、了解。(実際これを持っていない奴は再生されない。まぁ頑張りたまえ。)」
そしてテイク・クライアントは、床を殴り壊して下の階へ向った。
「「ッ!」」
「下の階に蟲が入り込んだらしい。まぁこれがある限り負けないさ。」
「なら簡単だ、それをぶっ壊せば良いだろうが!」
床を力強く蹴り、シャドーに急接近するワタル。
「おっと、そうはいかね。これは俺ら計画に最も重要性が高い物だ、それに…これを破壊しようとしたら魔力暴走が始まりこの世界ごとあの世逝きだ♪」
ワタルはそれを聞いて、シャドーの目の前で止まる。
「そうだ、誰もこれを破壊出来るものはない。結果的に、俺は不死の力を手に入れた!!」
雄叫びをしゲラゲラと笑うシャドー。
「ふっ、それはどうかな ? 騎士の中で、馬鹿げた力を持った奴が居るんだぜ ? 」
「ふん、そいつが来ようが勝てるわけないだろ ? 」
眼を大きくし馬鹿にするシャドー。
「ッ!まさか…」