▼第十四章 後編
「ッ!? 」「ふはは、死ね!」
テイク・クライアントが右手を鋭く尖がらせ、ヴィータの胸元に突き刺そうとしたその時。
「でやああぁぁぁぁ!!」
強烈なパンチがテイク・クライアントの左頬に直撃する。
「ザフィーラ!」
「どほおぉぁあ!」
少し吹き飛ばされ、地面に横たわる。
「ヴィータ、大丈夫か ? 」
「それより、何でおめぇがここに居るんだよ!」
数歩後退して距離を取るヴィータ。
「カリン殿の所へ戻った時、返されてしまってな。だから追いかけてきたんだ。」
少々苦い顔をしながら話すザフィーラ。
「ちッ、ちょこちょこと現れやがって……調子こいてんじゃねえぇぇぇぇ!!」
テイク・クライアントはそう叫ぶと、魔法陣を展開させ大きなオーラを放ち、背中に一枚の黒い翼、身体全身がメタリックなり顔面の半分が黒く染まっており闇に取り込まれている。
「な、なんだ ? 」
シグナムが少し後ずさりする。
「心配あらへん、うちらには補助が本領の湖の騎士がおるからな。」
「……クラールヴィント。」
「yer.」
すると、テイク・クライアントにバインドが巻きつく。
「ヌッ!? 」
「クラールヴィントのバインドから抜け出すには、さすがのあなたでもしばらくは抜け出せない。」
テイク・クライアントが声に引かれて後ろを振り向くと、鋭い目付きのシャマルの姿が。
「さぁ、皆仕上げや!」
はやてがそう言うと5人一斉に上空に上がり…
「行くで!」
「「はい」」 「おう!」
シグナムは、レヴァンティンをボーゲンフォルムに変形させ、魔法陣を展開させ辺りに炎が巻き起こる。
「轟天爆砕!」
ヴィータはグラーフアイゼンをギガントフォルムに変形させ、ギガントフォルムを振り回しさらに数十倍にまで巨大化させる。
「彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け──」
はやてはシュベルトクロイツを上に掲げ詠唱を唱える。
「ふ、ふざんけん…なぁ…(馬鹿な、こんなバインド…何故だ、何故解けない!)」
必死になってバインドを解こうとするテイク・クライアント。
「奔れ、隼!」 「石化の槍、ミストルティン!」 「ギガントシュラーク!!」
シグナムがシュツルムファルケンを放ち、燃え盛っている所をはやてのミストルティンがテイク・クライアントを石化する。そして最後は、ヴィータのギガントシュラークで粉々にした。
「「「……………」」」
辺りに沈黙が満ちる。
「終わったな…」
はやてがふと口を開く。
「はい、終わりました…」 「いや、まだ終わっちゃいねぇ。」
「何ぃ ? 」
ヴィータの言葉に眼を丸くするシグナム。
「シャドーの事でしょ ? 」
シャマルが微笑みながら言う。何かスッキリしたような顔で。
「あぁ、だからまだ終わっちゃいねぇ。行こうはやて!」
「そやな、もう一踏ん張りや!」
そして、はやて達は長き決着を付けた。そして、次は…
ゲヘナ城内部
「……ぅぅ……。」
「はぁ…はぁ…まだだ…」
その頃、フェイトは内部でボロボロのケロベロスと対峙していた。
「フェイトちゃん!」
「ッ!? ヘレンさん!」
ヘレンはフェイトの前に出て、ケロベロスと対峙する。
「……ぅぅ…ヘレン…はぁ……ぅぅッ………」
ケロベロスは何かを言おうとした所、力尽き倒れ込んだ。
「…………ふぅ。大丈夫フェイトちゃん ? 」
「は、はい。」
大きくため息をして胸を撫で下ろすフェイト。
「でも、何で此処に居たの ? 」
するとフェイトは頬を赤くして、小さな声で話し出した。
「……ぁぅ…道に迷いました…。」
今でも泣きは出しそうな顔で勇気を出して話したフェイト。
「あぁ泣かないで!まぁ此処は複雑だからしょうがいなって!ね ? 」
膝を床に付けて姿勢を低くし、必死で話すヘレン。
「……は、はぃ…」
どうやら泣き出す事は無くなった。
「ふぅ…じゃあ行こう!王の間にアルが向っているから、私達も行こう!」
「は、はい!」
無事、合流を果たしたヘレンとフェイト。そして王の間へ向うはやて達。王の間で放たれたライト・オブ・ジェネシス!
次回、ついに影の終焉が…
次回予告
「テイク・クライアントをくだしたはやて達、そしてフェイトと合流したヘレン。王の間では第二の神、邪神ライトルーラー・ジェネシスのライト・オブ・ジェネシスが王の間を光に包む!そして次回、全てが完結する!アルは、なのは ? それは全て次回で明らかになる!次回魔法少女リリカルなのはA's外伝 The miserable fate of the shadow 世代を超えた宿命も終わりを向かえる…」