▼第三章 前編 
「魔法少女リリカルなのはStrikerS アル=ヴァン編」

第三章「ファースト・アラート」


ヒカリ、元気か ? アルだ。

機動六課で働き始めてから約2週間が経った。

まだ、新人達は必死で頑張っているようだ。

俺がなのはと共に教導するのは少し先になりそうだ。

基本はなのはに任せてる。ヒカリはどうだ ?

あの事件からそれなりに経つが、復興されているかどうか不安だ。

まぁ、何かあればまた連絡する。じゃあ、またな。

                         アルより。

機動六課 訓練所


「…………」

訓練所のビルの屋上から、黙々となのはの訓練を見つめるアル。

訓練では、なのはとフォワード陣の5分模擬戦の模様だ。

「……中々よくなって来たか…」

見ると、丁度エリオがなのはに直撃を与えたところだ。

「……お疲れさん、なのは。」

「ぁ、アル君!どうだった ? 」

なのはがバリアジャケットを解除して、制服姿で見上げる。

「中々良い線だね。そろそろ俺の教導しようかな…ってね ? 」

「アルさん…の訓練… ? 」

訓練服で見上げるながら呟くスバル。

「おう、これでも部隊教導官だからな。」

そう言いながら、ゆっくりとビルから舞い降りる。

「まぁ俺が担当しているのは、部隊での四人で動く部隊戦術についてだ。ま、ティアナがあーだから技術的なところしか教えられないがな。」

「そ、そんな!私なんて…」

アルの発言に恐縮するティアナ。 

「あの、アルさんのデバイスって…」

「俺のか ? 俺のは今調節中…ッ、なんか臭いよ。」

すると、なのはとフォワードメンバー達は辺りを見渡す。

「ぁ、スバル!」

「ぇ、あぁ!? ぁ、ちゃ〜」

ティアナが叫び、スバルが自分が履いているローターを見ると、ローラーブーツから黒い煙と焦げ臭い匂いがする。

「オーバーヒートかな ? 後でメンテスタッフに見てもらおう。」 「かな ? 」

「はい…」

結構曇り顔になってしまうスバル。よっぽど大事にしていたのだろう。

するとアルは、模擬戦の中で、スバルのローターブーツが激しく火花を散すのを思い出す。

「そりゃなるか…」

「ティアナのアンカーガンも結構厳しい ? 」

スバルの事もあってか、ティアナにも念のため聞くなのは。

「はい、騙し騙しです…」

やはりスバル同様、かなり使ってきた為限界に近いようだ。

「なのは、そろそろ良いんじゃないのか ? 」

「そうだね、皆訓練にも慣れてきたし、そろそろ実戦用の新デバイスに切り替えかな…」

そのなのはの言葉を聞いて、フォワード陣は首を傾げる。

「新…」 「デバイス ? 」

そして、なのはとアル、フォワード陣は訓練を終え、隊舎に戻ることに。


「シャーリー、出来たかい ? 」

葉巻を吸いながら、ある一室に入るアル。

「アルさん。ぁ、葉巻、駄目ですよ!」

「すまん、仕事後のこれは勘弁してくれ。」

シャーリーが少し怒りながら言う。それを両手を合わせて、頼むアル。

「まぁ私はそこまで気にしませんが、あまり吸わないほうが良いですよ ? 」

そう言いながら、部屋の隅の机に置かれたエクスキューショナーを取り、アルに受け渡す。

「はい、ゲヘナ式のデバイス化。なんとか出来ましたよ。」

「有難う。見かけは全く変わらないんだな…」

アルが何やら不安そうな顔で呟くと、シャーリーが…

「前も言った通り、カートリッジシステムを搭載しましたよ!」

「へぇ〜エクスキューショナー、久しぶりだな。」

関心するアル。そして、久しぶりの魔剣に挨拶をする。

「お久しぶりです、我が王。」

「また宜しく頼むよ。」

そう言い、エクスキューショナーを腰に納刀すると、フォワードメンバー達が入ってくる。

「ぉ、来たか…」

「あ、アルさん。どうして此処に ? 」

スバルが少し驚いたような顔で聞く。

「まぁ、これをな…」

すると、アルは腰に納刀してあるエクスキューショナーを軽く叩く。

「これが、アルさんのデバイスですか ? 」

「あぁ、元々はただの剣だったけど、デバイスにして貰ったんだ。」

すると、シャーリーがアルの後ろからフォワードメンバー達を手招きする。

「あぁ、すまんなシャーリー。」

シャーリーは小さなカバンから、デバイスらしき物を取り出す。

スバル達は、デバイスが置かれた机の周りに集まる。

「うわぁ…これが…」 「私達の新、デバイス ? 」

スバルとティアナは、眼を丸くしながら呟く。

「そうで〜す!劣性主任私!協力、なのはさんとフェイトさんに、レイジングハートさんにリィン曹長!」

後ろで手を上げて嬉しそうに言うシャーリー。

「はぁ……」

「ストラーダとケリケイオンは、変化無しかな ? 」 

「うん、そうなのかな ? 」

エリオとキャロが少し不安そうな声で話すと…

「違いまぁ〜す!変化なしは、外見だけですよ!」

「リィンさん♪」 「はいです♪」

リィンがエリオの頭の上に載り、二人のデバイスについて説明をする。

「二人はちゃんとしたデバイスの使用経験は無かったですから、感触に慣れて貰う為に基礎フレームと最低限の機能だけで渡してたです!」

「ぁ、あれで最低限!? 」

「本当に ? 」

リィンの説明を受け、仰天する二人。

「皆が使う事になる四機とアルさんのエクスキューショナーは、六課の前線メンバーとメカニックスタッフが技術と経験の粋を集めて完成させた最新型!」

「部隊の目的に合わせて、スバルにティアナ、エリオにキャロ、そして、アルさんの個性に合わせて作られた文句なしに最高の機体です!」

「有難う御座います、リィン曹長。」

すると、エクスキューショナーがお礼を言う。

「いえいえ、エクスキューショナーさんもアルさんをしっかり守ってあげてくださいね!」

「はい、肝に銘じます。」
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