▼第四章 前編
「魔法少女リリカルなのはStrikerS アル=ヴァン編」第四章「進展」
「うおおぉおぉぉぉぉぉお!」
「……ッ、老王!」
訓練所では、なのは、フェイト、ヴィータの個人指導が行われて、アルは忙しいフェイトの代わりの為、現在は、エリオとキャロの訓練をスバル達よりも早く終わられ、老王の微調整の為にリバルと模擬戦を行っていた。
「老王。潰す!」
老王をビースト化させ黒の甲殻を生やし、リバルのグングリルを装備した拳がぶつかり合う。
「グングリル!」
リバルは、踵からカートリッジロードする煙が噴出し、強烈な回し蹴りを叩き込む。
「ぬぅッ!(痛ぅ…)」
回し蹴りが右頬に直撃し、森の中へ吹き飛ばされ、ヴィータとスバルの間まで吹き飛ばされる。
「ぉ、おい、アル、大丈夫か ? 」
ヴィータが眼を丸くして、恐る恐る近寄る。
「……ちっ!」
悔しい顔をして、シェルバーストを発動させるアル。しかし…
「…………貰った。」
「……ッ、速…」
リバルが鋭い目付きで森の中から出てくる。アルが反応する前に、さらに拳を叩き込まれる。
「ぁ…」
ヴィータとスバルは、渋い顔を見ながら吹き飛ぶアルを見つめる。
「まだまだ、格闘戦では私が一枚上手ですね。ん、ヴィータどうした ? 」
「ぁ、いや、相変わらず荒々しいなってな…」
すると、リバルは呆れた顔でこう言い出した。
「んな事考えてないで、スバルと訓練をなさって…ほら、スバルも。」
「ぁ、は、はい!」
ニヤっとした笑顔で話すリバルに、スバルは驚きながら応答する。
「んの野郎…いつもマジでやりやがって…」
床が寝ッ転がっているアルが起き上がり、愚痴るアル。
「まだやりますか ? 」
グングリルを装備した足で地を蹴り、拳をアルの目の前で止め、ニコっと言う。
「ぁ、いえ、遠慮ときます…」
さすがにアルも驚き、冷汗が垂れる。
「あの、ヴィータ副隊長。」
「あぁ、何だ ? 」
「リバル副隊長って…」
少し緊張しながら言うスバル。
「あぁ、あいつらの故郷でも副隊長を務めていたエリート騎士。その中でも部下や上司にもかなり厳しかったらしいぞ…」
「そ、そうなんですか…」
そして、グラーフアイゼンを待機状態へ戻し、ポケットに入れるヴィータ。スバルもヴィータ同様、マッハキャリパーを解除する。
「午前の訓練、おしまい!」
「「ぁ、有難う御座いました…」」
地面では、息を荒くして礼を言うフォワード陣。
「おつかれ、個別スキルになるとちよっときついでしょ ? 」
「ちょっと…というか…」 「その…かなり…」
「フェイト隊長は忙しいから、そろそろアルが代わりにやってくれるかもしんねぇが、あたしは当分、お前らに付き合ってやるからな!」
と嬉しそうにニヤつくヴィータ。
「ぁ、有難う御座います…」
と苦笑いで礼を言うスバル。
「それから、ライトニングの二人は特にだけど、スターズの二人もまだまだ身体が成長してる最中だから、くれぐれも無茶はしないように!」
「はい!」
「じゃ、飯にしよう!」
と、アルが呟くと
「「はい!!」」
嬉しそうに返事をするフォワード陣なのであった…
機動六課前
はやてとシャーリー、リィンが黒い乗用車に乗り込もうとしていた。
「ぁ、皆お疲れさんや!」
「「はい!」」
威勢の良い返事のフォワード陣。
「はやてとリィンは外回り ? 」
ヴィータは家族口調ではやてに尋ねる。
「はいです、ヴィータちゃん!」
「うん、ちょっとナカジマ三佐とお話してくるよ。」
ゲンヤの話になってスバルの表情が少し変わる。
「スバル、お父さんやお姉ちゃんに何か伝言とかあるか ? 」
すると、スバルは少し遠慮したような顔で
「ぁ、いえ、大丈夫です。」
そして、三人は黒い乗用車に乗り込み…
「じゃあ、はやてちゃん、リィン、いってらっしゃい!」
「ナカジマ三佐とギンガに宜しく言っといてね。」
「あと、ワタルにも宜しく頼む!」
なのは、フェイト、アルが見送る。
「うん。」
「いってきまぁ〜す♪」
すると、黒の乗用車を運転する男に、はやてが話しかける。
「ワタル君、なのはちゃんやフェイトちゃん、特にアル君に挨拶しなくて良かったの ? 」
すると、ワタルは黒のサングラスを外し…
「はい、別にこれと言った事もありませんし、今は勤務中ですから。」
「熱心なんやね。」
「いえいえ。」
少し照れながら、彼は陸士108部隊の隊舎へ急いだ。