▼第四章 後編
機動六課 ヘリポート
「訓練の方はどうだったんだ ? 」
ヘリポートでは、シグナムとヘレンが話していた。
「アルに聞いた事だけど、相変わらずみたい。」
「そうか。」
すると、ヘレンは壁に寄りかかるシグナムに一枚の書類を渡す。
「……これは ? 」
「ガジェットの残骸データ。色々興味深い事が書いてあったの。」
そこには、フェイトとシャーリーが調べたガジェットの残骸から発見された、あらゆる事が記されていた。
ジェイル・スカリエッティ。この男が「レリック事件」と関連しているかは、不明である。
しかし、不明とは言え油断は出来ない。本当に彼の仕業なら見逃せる物ではない。
「なるほど、ジェイル・スカリエッティ……か。」
そう言いながら、ヘレンに書類を返す。
ヘレンはそれを受け取り、黙々と読み始める。
「この、ジェイル・スカリエッティという博士、フェイト隊長が前から追っている人でしょ ? 」
「あぁ、ロストロギア関連以外にも数多くの事件で広域指名手配されている次元犯罪者。まだ一度も、捕まっていないそうだ。」
すると、突然ヘレンが明るい顔をする。
シグナムはどうしたのかと思い、少々驚きながらヘレンの方を向く。
「もし、フェイト隊長が捕まえたらとんだお手柄だね!」
シグナムはヘレンに何かを期待していたようだが、それを聞いた途端呆れた表情に変わる。
それを見て、不思議そうな表情で首を傾げるヘレン。
「確かにそうだが、お前は事の重要さが分かっているのか ? 」
すると、ヘレンは少し考え込んだ表情で首を傾げる。
「……まぁ良い、任務に出るぞ。」
「あぁ、ホテルだっけ ? ええっと…」
指を顎に付けて、キョロっとした顔を見せる。
すると、シグナムがモニターを展開し、今回の任務の目的地の画像が映される。
「ホテルアグスタ。骨董美術品オークションの会場だ。そこが明日、売買許可されたロストロギアが出店されらしい。今回、そのロストロギアをレリックと誤認したレリックを叩く。」
「なるほど、了解。でも、油断は出来ないね。参加者を負傷させる訳には行かないから。」
そして、モニターを閉じヘリポートを後にしようと歩くシグナム。
それを慌てて追うヘレンなのであった…
メカニックルーム
ヘレンはシャーリーが居るメカニックルームを訪れた。
「シャーリーさん!」
パネルを叩いているシャーリーが動きを止め、席を回転させて振り向く。
「ヘレン副隊長、来ましたか。」
ヘレンは浮刀術で精製した小型ナイフを一本、振り回しながら寄ってくる。
すると、シャーリーは床に置いていたケースを取り出し、机の上に置いて開ける。
「ヘレンさんのデバイス、カートリッジシステムの搭載。完了しましたよ、ええっと名前なんでしたっけ ? 」
ヘレンはケースに収められていたデバイスを手にし、軽く振り回しながらこう言った。
「グラディウス!刃の大きさで長剣や短剣。大剣にもなるデバイスです!」
とても満足したような表情で話すヘレン。
その笑みに、シャーリーも嬉しそうな顔をする。
「満足頂いて嬉しいです。ヘレンさん♪」
そして、一緒に収められていたカートリッジ弾丸が収納されているケースをヘレンに渡す。
「はい、カートリッジです。このように外して…素早く装填が出来ますから、フルドライブ連発を可能ですよ♪」
グラディウスの前折りにし、上下に2発カートリッジ弾丸を入れる弾倉が姿を見せる。
そして、空だった弾倉にカートリッジを装填をしてヘレンに受け渡す。
「お、恐ろしいねぇ…フルドライブ連発…」
シャーリーから受け取り、懐へと仕舞う。
そして、大きく頭を前に下げる。
「有難う御座いました、シャーリーさん!大事に使わせて貰いますね、荒々しく♪」
「荒々しくって本当に大事にしてくれますのかね ? 」
と、クスっと笑いながら話すシャーリー。
それを笑いながらヘレンは片手を横に振り、それを撤回する。
そして、軽く一礼してメカニックルームを後にした。
「さぁ〜て、お仕事、お仕事!」
そしてヘレンは、他の副隊長が待つヘリポートへ向っていった。
さらなる力を得て、笑みを浮かべるヘレンなのであった。
その笑みは、親から何かを貰ったような笑顔であった。
次回予告
スバル「今度の任務は、ホテルの警備とオークョンの護衛。」
フェイト「オークションを狙うガジェットと、そして謎の召還魔道師。」
スバル「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS 第五章。」
ティアナ「ホテル・アグスタ 」
「「Take off!」」