▼第五章 後編
それは小さな羽根と、銀色の身体を持つ小さな蟲であった。「ミッション、オブジェクトコントロール。いってらっしゃい、気をつけてね。」
召還魔道師がそう呟くと、無数の蟲達は森林の中を高速で移動し、ガジェットドローンに付着した。
「………ふっはぁ!」
小型ナイフを精製し、魔力を注ぎ込みガジェットドローンT型に向って放ち、切り裂こうとするが綺麗に回避される。
「ッ!な、何これ…」
そして、リバルもズジェットドローンV型に斬りかかろうとするが、一本のベルト状の腕により、防御されてしまう。
「なッ!? 」
攻撃されると判断したリバルは、瞬時に距離を取りヘレンと合流した。
「リバル、こいつら…」
「自動機械の動きではない…」
綺麗に避けるガジェットドローン。機械の動きなら避けないものを、ガジェットドローンは見事、避けて見せた。
「有人操作に切り替わった…」
「それが、さっきの召還師の魔法 ? 」
「ヘレンちゃん、ラインまで戻って!召還師が新人達のところに回られたらまずいわ!」
有人操作、というと誰かがガジェットドローンを操作しているという事になる。召還師の事も気になる中、シャマルはヘレンを防衛ラインまで下げる事にした。
「了解です、シャマルさん。」
ヘレンはシャマルからの命令を受け、ラインまで移動した。
「ヴィータお前も下がれ、ヘレンのフォローをしてやれ。召還師との戦闘もあるかもしれんからな。」
「わ、分かった。」
という事で、ヘレンとヴィータはラインまで下がる事に。
「ザフィーラ、シグナムと合流して!」
「心得た。」
他の場所で迎撃していたザフィーラは、シグナムと合流する事に。
ヘレンは、上空から地上に降りた。
「グラディウス、早速行ってみようか…」
「Yes,sir.」
弾倉から煙が吹き出て、二発しか出来ないカートリッジリロード、フルドライブする。
「魔力増幅確認、老王行くよ!」
すると、老王はビースト化し左足に黒の甲殻が精製され、走り出す体勢になる。
「フルドライブだけど、二発だから大丈夫…だよね ? 」
と、少々心配そうな自分に聞く。
そして、老王の左足の特殊能力「神速」を発動し、森林の中を高速で駆け抜けていくのであった。
「ヴィータちゃん、そっちはもう着きそう ? 」
上空を移動するヴィータに通信する。
「私は少し時間が掛かりそうだ。だが、お前の方が速いが距離が遠い。同時という感じだな。」
ヴィータとの通信を切り、フォワード陣達に通信を入れる。
「こちら、ロングアーチ。ラインの皆、大丈夫 ? 」
ガジェットとの戦闘中のフォワード陣。有人操作されている為、動きが良い。
ティアナの弾丸が避けられるのが目立つ。
「ヘレンさん!こっちは大丈夫です!」
ウイングロードで移動しながら、応えるスバル。
「もう少しで、ヴィータ副隊長と到着するから待っててね!」
すると、樹に隠れながら装填しているティアナから…
「守ってばかりでは、いき詰まります!ちゃんと全部撃墜します!」
「………………」
すると、突然プツリと通信は切れた。
そして、ヘレンは走る速度を上げた。確かにフォワード陣がやろうとすれば、撃墜は可能だろう。
しかし、無茶はいけない。それは、アル以外は誰もが知っているあの出来事があったからこそ…
「そろそろ着く、頑張って持ってくれ…」
しかし、ヘレンが考えていた事は起こってしまった。
ヴィータは上空を飛びながら到着するところだった。
「…………ッ!ティアナ!!」
ヴィータが合流しようとしたその時、ティアナが放ったくクロスファイアシュートが、ガジェット達を撃ち抜く中、一発ガジェットから反れスバルに迫る。
「ッ!!」
ヴィータは最高速度でスバルの元に行き、ティアナの弾丸をグラーフアイゼンで地上へ打ち返した。
「ヴィータ副隊長!? 」
スバルが驚いた表情で言うが、ヴィータはそんな事を聞いていない。
「ティアナ!無茶しといて味方を撃ってどうすんだ!!」
「…ぁぁ…ぁ…」
突然やってしまったミス。ティアナは呆然としている。
「あの…ヴィータ副隊長、今のもそのコンビネーションのうちで…」
いい訳の様な感じ話すスバルだが、ヴィータにはそんな事で誤魔化せない。
「ふざけろタコ。直撃コースだよ今のは!」
「違うんです!今のは私がいけないんです!」
すると、ヘレンも到着する。
「ヴィータちゃん!そんな事より今はガジェットを…」
しかし、そんな事をヴィータは聞いていない。
「うせぇバカ!もういい…後は私とヘレンがやる!おめぇら二人、引っ込んでろ!」
その後、ヴィータとヘレンのコンビでガジェットは全て撃墜。
そして、ガジェットの機影、反応も消え戦いは終わった。
「よし、全機激突。」 「ふぅ……」
すると、森林の中から合流したザフィーラとシグナムが現れる。
「こっちもだ、召還師は追いきれなかったがな…」
「だが、居ると分かれば対策も練れる。」
相変わらず、ザフィーラは犬形態のままである。
「だな…」 「ぁ、エリオ、ティアナは ? 」
召還師を追いきれなかったのは残念だが、今は良しという事になった。
そして、ヘレンがティアナについて聞くと…
「はい、裏手の方に行ってます。」 「スバルさんも一緒です。」
「……………」 「…やれやれ……」
ヘレンは少々は呆れ顔だったが、ヴィータの目付きは何かを心配しているような鋭い目付きであった。
そして、失敗したティアナは…
その相方、スバルも…
次回予告
スバル「後悔も悲しみも、立ち上がる力に変えて、私達はずっとそうやって歩いてきた…」
スバル「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS第六章 願い、ふたりで。私は、ティアのパートナーだから!」