▼第六章 前編 

「魔法少女リリカルなのはStrikerS アル=ヴァン」

第六章「願い、ふたりで。」


ホテル・アグスタでの、カジェットの迎撃が終わり無事、オークションは終了。

その後、調査班が現地に到着。

ガジェットの回収、調査を開始した。

そして、アルやなのは達はフォワード陣と合流して報告を受けていた。

「えっと、報告は以上かな ? 現場検証は調査班がやってくれるけど、皆も協力してあげてね。しばらく待機して、何も無かったら撤退だから。」

「「「はい!」」」

なのはが皆に指示を送る。

フォワード達は返事をするが、ティアナに元気はない。

やはり、ミスショットについてか…

「で、ティアナは……ちょっと私とお散歩しようか ? 」

と、優しく声を掛けるなのは。

「ッ………はい。」

それを聞いたティアナは、少し黙って小さく返事をした。

そして、フォワード陣や隊長達は解散。

現場検証の協力へ向った。

アルはスバル共に、現場を歩いていた。

「……………」

アルは禁煙パイポを吸いながら歩く。

スバルは、ちょっと苦い顔をしながらちらちらとアルの顔を見ながら歩く。

「ティアナの事だが…」

ふと、アルが口を開く。

それを聞いて、スバルは少し身構えてしまう。

「は、はい…」

「クロスシフトだったんだっけ……お前の立ち位置は、どんなものだったんだ ?」

すると、スバルが歩きながらモニターを展開する。

アルはそれを、腕を組みながらモニターを見つめる。

「なるほど……特にお前は、大丈夫のようだな…」

そして、勝手にモニターを閉じる。

すると、禁煙パイポを取って握りつぶし、ポケットに仕舞う。

「あの……アルさん。」

「まぁ、なのはがちゃんと指導するから大丈夫だろう。俺はただ、お前達のフォーメンション等しか指導出来ないが…スバル、ティアナが何か間違っている道を進もうとしていたら、ちゃんと修正してやってくれ。」

アルはそう言い、禁煙パイポを内ポケットから取り出し口に咥える。

「はい…分かりました!」

姿勢を正して、アルを見つめるスバル。

アルはそれを見て、軽くため息をしてスバルから離れていった。

その後、現場検証は終わり、フェイトとなのはは、ユーノ・スクライアと会いアルは現場検証の手伝いをして、皆機動六課に撤退していった。


機動六課


「皆お疲れ様。じゃあ、今日の午後の訓練はお休みね。」

「明日に備えて、ご飯食べてお風呂でも入って、ゆっくりしてね。」

「明日からまた、いつも通りに訓練していくから、ちゃんと寝ろよ ? 」

「「「はい!」」」

そして、フォワード陣は隊舎に帰って行った。

隊長、副隊長は機動六課に戻っていった。

すると、なのはとフェイト、アルが廊下を歩いていると…

「あのさ、三人ともちょっと良いか ? 」

後ろから、シャーリーとシグナム、リバルと居るヴィータが話しかけてくる。

「ん、ぁ、うん。」

後ろに振り返ると

少し真剣な顔付きで、腕を組んでいるヴィータがこちらを見つめている。

なのはは、それを応えて七人は休憩室へと移った。

そして、七人がそれぞれ飲み物をテーブルへと置くと

ヴィータは、ティアナの事について話し始めた。

「訓練中から時々気になってたんだよ、ティアナの事。」

L字ソファーに座り、腕を組みながら話す。

「……うん。」

ティアナの名を聞いたなのは、少し苦い表情をする。

「強くなりたいんなんて若い魔道師なら誰でもそうだし、無茶は多少するもんだけど、あいつ…ちょっと度を越えてる。あいつ、此処に来る前何かあったのか ? 」

「………うん。」

皆がなのはに目線を送る。

そして、なのははティアナについて話し始めた。

「ティアナのお兄さん、ティーダ・ランスター。当時の階級は一等空尉。所属は首都航空隊、享年21歳。」

なのはは、モニターを展開してティアナの兄、ティーダ・ランスターを映し出す。

「……結構なエリートだな。」

「あぁ、そうだな。」

モニターを見て、少し関心するヴィータとアル。

しかし、それを聞いたフェイトの顔が曇る。

「そう、エリートだったから、なんだよね。ティーダ一等空尉は、亡くなった時の任務は、逃走中の違法魔道師に手傷は負わせたんだけど、取り逃がしちゃってて…」

「まぁ、地上の陸士部隊に協力を仰いだお陰で、犯人はその日のうちに取り押さえられた様だけど…」

「その件についてね、心無い上司がちょっと酷いコメントして、一時期問題になったの。」

それを聞いたヴィータとアルは、険しい顔を浮かべる。

「コメントって、何て ? 」

「…………」

なのはとフェイトは、口を閉じて俯いてしまう。

それを見たリバルがふと、口を開く。

「犯人を追い詰めながらも、それを逃がすとは首都航空隊としてあるまじき行為だ。たとえ、死んでも取り押さえるべきだ。任務を遂行出来ない奴はいらない。等、色々と酷いものだったらしいです。」

と、例を上げてたリバル。

その表情は瞼を閉じながらも、苦い顔を浮かべる。

「ティアナはその時、まだ10歳。たった一人の肉親を亡くしてしかも、その最後の任務が無意味で役立たずだったと言われ、きっと物凄く傷ついて悲しんで…」

「だから、ティアナはあんなに必死な訳か…」

禁煙パイポを吸いながら、呟くアル。

ティアナの事を知った服隊長陣はその後、なのは達隊長陣とそれぞれの部屋に戻っていった。

そして、ティアナは訓練を必死にやっていった。

時には、危ない時もあったが相方やキャロとエリオの協力もあり、一定日数に行われる早朝模擬戦が行われる日を迎えた。
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