▼第七章 中編 
「だから、ヴィータと高町教導官、テスタロッサ・ハラオウン執務官が現場に向うから、アル君はもうちょっと待っておいてな。」

アルは、それを聞いてコクりと頷く。

すると、海上から上空へと上昇する。

そして、魔法陣を展開する。

「んじゃ、隊長達が来る前に頑張ろうか…」

「了解です、我が王。」


機動六課 ロビー


その頃、リバルとシグナム、フォワード陣はシャーリーの指示でロビーに移動。

ロビーでは、シャマルが氷袋を持って待っていた。

シャマルは、ティアナに渡る。

ティアナは、軽く頭を下げて左頬を冷やす。

「………………」

そして、全員ソファーに座る。

シャーリーはパネルを展開して、淡々と叩く。

リバルだけ、ソファーに座らず建物の柱に寄りかかる。

「……昔ね、一人の女の子が居たの。その子は本当に普通の女の子で、魔法なんて知りもしなかったし戦いなんかする子じゃなかった。」

すると、モニターが展開される。

そのモニターには、幼い頃のなのはの姿が映し出される。

それを全員、眼を向ける。

「友達と一緒に学校に行って、家族と幸せに暮らして、そういう一生を送るはずだった…」

モニターを見ながら淡々と話すシャーリー。

「だけど、事件が起こったの。魔法学校に通ってた訳でもなければ、特別なスキルがあった訳ではない。偶然の出会いで魔法を得て、たまたま魔力が大きかっただけの、たった九歳の女の子が…魔法と出会ってわずか数ヶ月で、命掛けの実戦を繰り返した。」

モニターにはなのはと対峙するフェイト。

そして、アルの姿も…

「これ…」 「フェイトさんに…アルさん ? 」

エリオとキャロが眼を疑うような声で呟く。

それをスバルもティアナも、ただただ見てるだけだった。

「フェイトちゃんは当時、家族環境が複雑でね…あるロストロギアを巡って、敵同士だったんの。」

「この事件の中心人物は、テスタロッサの母。その名を取って、「プレシア・テスタロッサ事件」。あるいは、「ジェエルシード事件」と呼ばれている。」

「そして、その当時から魔界の王として戦っていたアル君は、ロストロギア回収の為になのはちゃんとフェイトちゃんと出会うの。」

映し出されるのはなのはが砲撃を放つ姿。

そして、複数砲撃で時の庭園を破壊するアルの姿。

「集束砲に、S級の大魔法!? こんな大きな…」 「九歳の女の子と…アルさんが…」

「ただでさえ、大威力砲撃は身体に酷い負担が掛かるのに…」

フォワード陣全員が呆気に取られる。

九歳の女の子と青年が放つ大魔法。

それをただ、見るしか出来なかった。

「その後もな、さほど時も過ぎず戦いは続いた。」

闇の書事件の映像が映し出される。

そして、なのはがヴィータに倒されるあの時も…

「私達が大きく関わった、闇の書事件。」

「襲撃戦での撃墜未遂と敗北。それに打ち勝つ為に、選んだのは…当時はまだ安全性が危うかった、カートリッジシステムの使用。そして、封印されていた力の解放。身体の負担を無視して、自身の限界値を超えた出力を無理やり引き出すフルドライブ「エクセリオンモード」。アルは、解放された力の先を自ら開拓した。衝撃や反動が酷く、身体の負担が異常な形態。「ケルベレンモード」。」

「……ぁぁ……」

闇の書の意志との激闘が映し出され、唖然しか出来ないフォワージ陣。

「誰かを救う為、自分の思いを通す為の無茶をなのはとアルは続けた。だが、そんな事を続けて、身体に生じないばすも無かった。」

「事故が起きたのは、入局二年目の冬。異世界での捜索任務の帰り、ヴィータちゃんや部隊の皆と一緒に出掛けた場所。ふいに現れた未確認体。いつものなのはちゃんなら、なんも問題も無く味方を守って落とせるはずだった相手。だけど、溜まっていた疲労、続けてきた無茶がなのはちゃんの動きをほんの少しだけ、鈍らせちゃった。その結果が、これ。」

すると、なのはが入院して腹部辺りが包帯が巻かれている。

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