▼第十章 中編
そして地上へ上った108部隊、フォワード陣と隊長陣。
「よし、全員上れたな…キャロ。」
アルが全員を見渡し、キャロに召還について問う。
「はい、多分あの召還蟲で地下を破壊しようと…私がなんとかします!」
「うん、スバル、ギンガ。」
コクりと頷くと、アルはスバルとギンガに話掛ける。
突然話しかけられ少し驚く二人。
「ぁ、はい!」 「何でしょうか?」
すると、アルは何も言わずに鋭い紅い眼で二人を見つめ始めた。
それを見た二人は、少し固まってしまう。
「……ふぅ、二人はサイドに展開。あの紫のを捕らえろ。」
「「り、了解!」」
突然喋り始め、また少し驚く二人だが目付きはちゃんとしていた。
そして、アルは今度はティアナとエリオの方を向く。
「ティアナは、中距離から奴らを。エリオはスピードを活かして、逃げた奴らの先回りをしてくれ。ヴィータとリィンは後方を!俺が先頭で行く。」
「了解です!」 「了解。」 「おう。」
そして、キャロはビルの屋上まで上がり、召還師専用の錬鉄召喚を使用して、地下を破壊する召還蟲を捕縛する。
その横をアルが高速で通り過ぎ、紫の少女の元に近づく。
それに続いて、サイドからスバルとギンガのウイングロードが走る。
ティアナは、ビルから魔法弾を放つが避けられ紅い精霊の炎魔法と紫の少女が放つ刃が迫り、その場から離れる。
二人の攻撃はティアナだけではなく、それぞれに一発ずつ放たれ回避していく。
そして、紫の少女から道路に降り立つと先回りしていたエリオが、ストラーダを少女の胸に向けて動けなくさせた。
リィンもフリジットダガーで紅い精霊を囲い、捕らえる事に成功する。
「ここまでです!」
リィンが紫の少女に近寄り、それぞれバインドで縛る。
「ッ!」 「ぬッ、く、くそぉ…」
紅い精霊が悔しそうな表情で、道路の床にあぐらをかくと、ヴィータしアルが迫る。
「ふぅ、子供をいじめてるみてぃで良い気分はしねぇが、市街地での危険魔法の使用、公務執行妨害。その他もろともで逮捕する。」
その場から大きく外れた所、廃棄されたビルの寄りかかるクイントの姿が。
「クイント姉。」
通信である。
「どうしたの、セイン?」
「今、ルーお嬢様が捕まっちゃってて、クア姉と助けようとしてるんだけど、クイント姉も手伝って〜。」
すると、少々呆れ気味でため息をつく。
「了解、良い時言ってね。」
「りょかぁ〜い♪」
セインがそう言うと、通信は途切れた。
すると、クイントは両手を強く握り締めて移動を開始した。
ビルの屋上まで到着したクイント。セインから再び通信が入れる。
「クイント姉、準備は良い?」
「ええ、いつでも良いわよ。」
そして、ウイングロードを発動させヴィータとアル達が居る道路に向って走り出す。
「ッ!ウンイグロード!?」
アルが魔力反応に反応して、振り向く。
それを見て、全員が向く。
すると、セインが蒼いウエットスーツのような物に見に纏ったセインが、ケースを持っていたエリオから奪い取る。
「頂き♪」
ティアナが素早く反応して魔法弾を放つが、セインは道路の下に潜って消えた。
それと同時に、クイントがウイングロードに乗って迫り、ヴィータに殴りかかる。
全員が、回避する為に少し離れてしまう。
そして、クイントが紫の少女に迫ると、再びセインが現れて二人とケースを上手く抱えて下に潜っていった。
「ッ、こいつ!」
ヴィータが飛び込むように捕まえようとするが、セインは既に下に潜り込み空振り。
「上手くいったわね、セイン。」
「クイント姉も、良かったですよ♪」
道路の下の一般道に降り立ち、二人で微笑む。
すると、心配そうに紫の少女がセインに話しかける。
「アギトが…」
それを聞いたクイント微笑みながら話す。
「アギトさんなら、さっきので離脱しましたから、安心して下さい♪」
そして、此処から離脱してアギトと合流する為に、二人はセインと共に潜っていった。