▼第十一章 前編 

「魔法少女リリカルなのはStrikerS アル=ヴァン編」

第十一章「命の理由」


─────機動六課 部隊長室

アルはフェイトと共に、はやてと査察官について話していた。

「臨時査察官、機動六課に?」

「うーん、地上本部にそういう動きがあるみたいなんよ。」

「そいつはまた困ったな…」

「地上本部の査察は、かなり厳しいって…」

と、苦手そうな表情で話すフェイト。

「ぅぇ…うちは、たたでさえ突っ込みどころ満載の部隊やしいなぁ。」

「そんな事、自分で言ってどうする…」

アルがはやてに少し突っ込んでみるが、三人の表情は和らがない。

「今の配置や、シフトの変更命令が出たりしたら正直、致命的だよ?」

「あぁ、正直…まずいな。」

「うん…なんとか乗り切らなぁ…」

すると、フェイトが少し厳しい表情ではやてに話しかける。

「………ねぇ、これ査察対策に関係してくるんだけど、六課設立の本当の理由、そろそろ聞いても良いかな?」

「本当の理由?」

アルがフェイトの言葉に首を傾げる。

すると、はやてが軽く息を付き口を開いた。

「………そやね、まぁええタイミングかな。一応、これから聖王教会本部、カリムの所に報告に行くんよ。クロノ君も来る。」

「クロノも?」 「へぇ、これはまた豪華だな。」

アルがクロノの名を聞くと、苦い表情をする。

クロノ・ハラオウン。フェイトの義理の兄。

アルにとっては、どうも苦手な相手だ。

「なのはちゃんと一緒に、付いて来てくれるかな?そこで、まとめて話すから。」

「うん。なのは、戻ってるかな?」

そして、フェイトがなのはが居る私室にモニターを開くと…

「うわあぁぁぁぅわぁぁぁぁんはああぁぁんふあぁぁぁぁん」

「あぁ、こら、泣かない、泣かないで…」

映し出されるのは、この前保護された少女「ヴィヴィオ」が号泣してなのはに抱きついて、離れようとしない。

なのはもさすがに参っているようだ。

そして、フォワード陣も居るが全く対処出来てない。

「あらあららら…」 「「……ん?」」

フェイトとはやては何事かと首を傾げる。

アルはそれを見て苦笑い。

「えっと、何の騒ぎ?」

フェイトがモニター越しでなのはに聞く。

「あぁ、フェイト隊長…」

「「……ふふ。」」

フェイトとはやて、そしてアルは、なのはを助ける為に部隊長室を後にして、なのはが居る私室に向っていった。

そして、三人が部屋に到着して扉を開ける。

「ぁ、八神部隊長。」

「フェイトさん、アルさん。」

ティアナとエリオが、三人に気付いて名前を呼ぶ。

「エースオブエースにも、勝てへん相手はおるもんやねぇ♪」

「ふん、お手上げ状態だな。」

すると、なのはが三人に気付き念話を送る。

後ろにはキャロとスバルも居るが、かなり困っているようだ。

「(フェイトちゃん、はやてちゃん、アル君、あの…助けて〜)」

念話を聞いたはやてが、スバル達に話しかける。

「スバル、キャロ、取りあいず落ち着こうか?離れて休め。」

そして、スバルとキャロが離れフェイトがなのはとヴィヴィオに近寄って床に置かれていた、うさぎの人形を拾う。

「こんにちわー。」

姿勢を低くして、うさぎの人形を使ってヴィヴィオに話しかけるフェイト。

「へぇ!?」

泣き叫んでいたヴィヴィオは、突然のフェイトの言葉に驚く。

「この子は、あなたのお友達?」

人形を見ながら、ヴィヴィオに人形について聞く。

「ヴィヴィオ、こちらフェイトさん。なのはさんの大事なお友達。」

「ヴィヴィオ、どうしたの?」

と、フェイトが聞いてみるが、ヴィヴィオはフェイトをじっと見ていて返答がない。

「(とりあいず、病院から連れて帰ってきたんだけど…なんか離れてくれないのぉ…)」

なのはが念話で、事々を説明する。

フェイトは、人形を使ってヴィヴィオの眼を引く。

「(ふふ、なつかれちゃったのかな?)」

「(それで、フォワード陣に相手をして貰おうと思ったんだけど…)」

なのはがフォワード陣達を向くと…

「「「(……すみません。)」」」

と、ただ申し訳無さそうな顔で佇んでいた。

「(はやて…あの子って。)」

アルが念話で話しかける。

「(うん、この前保護して子や。)」

それを聞いたアルの表情が険しくなる。
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