▼第十一章 中編
「(すると……あれか?)」「(そうな、悲しい事やけど人造生命体という事は確かや…)」
確認出来たアルは、ヴィヴィオを見て軽くため息をこぼした。
その時、アルは魔界に居る保護した孤児達の事を思い出す。
そして、横眼でエリオとキャロの方を見る。
二人は、何やら恥ずかしそうな表情で俯いていた。
「だから良い子で待ってよ、ねぇ?」
そして、フェイトがうさぎの人形をヴィヴィオに受け渡す。
「……うん。」
ヴィヴィオは、人形を握り締めてなのはから手が離れる。
そして、なのははフェイトの元に避難。
「有難うね、ヴィヴィオ。ちょっとお出かけしてくるだけだから…」
「……うん。」
そう言い、頷くヴィヴィオだか涙ぐんでいた。
そして、ヴィヴィオの相手は年齢か近いエリオとキャロに任せた。
隊長達は聖王教会本部に向う為、ヘリポートへ向って搭乗した。
「ごめんねぇ、お騒がせしてー。」
「いやぁ、ええもん見せて貰ったよ♪」
「中々見れない絵だったからな♪」
はやてとアルは、少しなのはを茶化す。
「ぅへぇ……」 「ふふふ♪」
フェイトもクスクスと笑い、なのははそれに苦笑い。
「しかし、あの子はどうしよっか?何なら、教会に預けとくというのもええけど…」
足を組み、なのはに提案する。
「平気、帰ったら私がもう少し話してなんとかするよ。」
「そうか、困った時はアル君に任せればええ事なし♪」
と、笑いながらアルの方を向く三人。
「うぇ!?ぉ、俺かよ!」
アルは仰天して、キョロキョロと首を振る。
「だってアルは、魔界に居た時はああいう子達を育ててきたんでしょ?」
フェイトが昔の事について、アルに確認を取る。
「ま、まぁな…」
「なら、大丈夫やろ♪」
と、今度はアルを茶化すはやてだった。
だが、なのはは少々渋い表情だった。
「多分、今は回りに頼れる人が居なくて、不安なだけだから…」
そして、四人はヴァイスが操縦するヘリで聖王教会へ向っていった。
────聖王教会本部─
「失礼致します。高町なのは一等空尉であります!」
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン、執務官です。」
「アル=ヴァン・ガノン一等空尉であります!」
すると、奥から金髪の女性がゆっくりと向って来る。
「あぁ、いらっしゃい。初めまして、聖王教会教会騎士団騎士、カリム・グラシアです。どうぞ、こちらへ…」
そして、四人は奥にあるテーブルに移動する。
その間、アルはカリムを見つめていた。
「(あんな若い人が聖王教会の……それに美人だな。)」
すると、歩きながらフェイトが横目でアルを見る。
アルはいつもの顔ではない。
カリムに眼が行ってしまっている…
「(……はぁ、アル!)」
突然、フェイトが念話でアルに話しかける。
「(ぶッ!?ふぇ、フェイト、ど、ど、どうした?)」
突然の事で、仰天いるアル。
あまりにも驚いたのか、アルはフェイトの方を向いてしまう。
「(アルこそ、どうしたの?)」
「(ぃ、いや、別に何でもないぞ…っと。)」
フェイトは、さすがに呆れてしまった。
「(はぁ……もぅ。)」
そして、奥に置かれているテーブルに到着すると、既にクロノが席に座っていた。
フェイトは、周りに察せられない為に自分を引き締める。
「失礼します。」
なのはが一礼して、席に座る。
「クロノ提督、少しお久しぶりです。」
フェイトが敬礼しながら席に座る、クロノに挨拶を交わす。
「あぁ、フェイト執務官。」
「んふふふ…」
それを聞いたアルが、クスクスと堪えながら笑ってしまう。
それを少し驚いてアルを見るフェイト。