▼第十二章 中編
すると、窓側に大きなモニターが展開される。
そこに、一人の男が映し出される。
その人物は、時空管理局地上本部 地上本部総司令。レジアス・ゲイズ中将の姿だった。
「ぁ、ケーキ食べるかい?」
ヴェロッサが、突然ケーキを手中に現れる。
「ぁ、はい、頂きます。」
そして、ケーキをナイフで切って皿に盛ってリバルとクロノに渡す。
渡し終えると、ようやく本題へと移った。
「……しかし君の依頼どおり、内密で地上本部の中身にゲイズ中将の辺りを調べてみたけど……何と言うか、本当に面白いくらいに豪腕な政略家だよね。」
それに耳を傾けて、ケーキを黙々と食べるリバル。
「実力者であり、人を引きつける権威力もある。優秀な方だとは思う。」
「ま、うちのアルさんとは随分違うとは思いますがね。」
それを聞いたヴェロッサが、フォークを咥えたまま笑い始める。
「はははは、彼は若いからね。ゲイズ中将は歳もあるからね♪ま、本部長からして彼の後輩だしね。」
「くどい噂が絶えないとは言え、彼が地上の正義の守護者というのは事実だ。」
クロノとヴェロッサは、ケーキを食べて紅茶を一口口にし、そしてまたケーキを一口食べながら話していく。
それをリバルは、独自の食べ方でそれを聞いていた。
「企業から政界からの支援も山ほどあり、管理局最高評議会の応援もめでたい。こりゃあ、確かに本局としちゃあ扱いが難しい人物だ。」
「そう、迂闊な介入は出来ない。ただでさえ、海と陸。本局と地上本部は、断るごとに衝突を。」
と、クロノが話していると通信が入る。
モニターを開くと、艦船クラウディアのクルーから通信だった。
「失礼します、クロノ艦長。」
「ああ。」
「八神はやて二佐がいらっしゃいました。」
すると、クロノは二人の顔を見て三人とも席を立ち、はやてを迎えに行くことにした。
そして、廊下に歩いているとはやてとティアナの姿が。
「はーやて。」
ヴェロッサが相変わらず、気軽な感じで話しかける。
「ようこそ、クラウディアへ。」
そして、リバルははやてと眼が合い、軽く敬礼する。
「凄い船やね〜、さすがは心臓艦や。」
「まぁな、臨時査察を受けたみたいだが大丈夫だったか?」
はやてが明るい表情で話すが、クロノは心配そうな顔で話す。
「うん、即時査問は回避できたよ。ぁ、そや、紹介しとくなうちのフォワードリーダー。執務官志望の…」
「ティアナ・ランスター二等陸士であります!」
と、威勢の良い声で話す。
「ああ。」 「よろしく〜。」
すると、リバルがティアナに念話を送る。
「ティアナ、どうして此処へ?」
「ぁ、リバル副隊長。八神部隊長から、お誘いを受けまして。」
「……そうか。」
そして、五人は先ほど三人で話していた部屋に移動し、再びヴェロッサがケーキと紅茶を用意した。
「あぁ、おおきにな。」
「君も座れば?」
ヴェロッサが、はやての分の紅茶を入れ終えるとティアナを誘った。
「ぁ、いえ、自分は此処で!」
と、恐縮してそれを断った。
それをクロノを見ると、はやてに念話を送る。
「前線メンバーにまで、今回の全容を?」
「予言関連はぼかしてあるよ。地上本部が襲われる可能性だけ。」
「なるほどね…」
それを聞き、紅茶を一口。
その後、先ほど話していた。レジアス・ゲイズ中将について、はやてにも話して。
ヴェロッサは、ティアナに今回の件についての重要データを受け渡して六課に帰る為に見送りにいった。
そして、部屋にはクロノとはやて、リバルが残った。