▼第十三章前編 そのU 
「……ッ、相棒!」

「Gear Second.」

マッハキャリバーの速度を上げ、吹き飛ばされたギンガに急接近して飛び蹴りをするが、既に体勢を整えていたギンガは、軽々と回避してスバルはそのままギンガの後ろに生えていた樹を粉砕する。

「Wing Road.」

スバルの飛び蹴りを回避し、地上から少し浮いたギンガはウイングロードを使ってその場から離脱する。

「ぬくぅ!?」

振り向いて、ギンガを見失わないように眼を付けてギンガ同様、ウイングロードを使って追跡をする。

「でぇやああぁぁぁああ!」

「はああぁぁぁぁああ!」

上空にウイングロードを作り、高速で移動するスバル。

ある程度、離脱したギンガは振り返ってスバルを迎えうつ。

その後のウイングロードがぶつかり合い、二人の拳もぶつかり合う金属音が当たりに響く。

「何か……」 「うん。」 

「ん?」

ティアナがふと、ライトニングの二人に首を傾げると…

「スバルさんもギンガさんも、嬉しそうだなぁって…」

「あぁ、スバルお姉ちゃんっ子だからねぇ。ギンガさんもスバルに結構甘いし。」

その横を隊長達が、じっくりと二人の模擬戦を観察していた。

アルも上空に居たが、二人がウイングロードで上空に上った事で、なのは達の元に戻っていた。

「スバルは、大分使えるようになったな。」

「入隊以降、ずっとクロスレンジの基礎固めをしてきましたから。」

シグナムが嬉しそうに話すと、なのはが今までやってきた事を嬉しそうに話す。

「あたしとなのはが毎日、毎日ぶっ叩いてそれにアルの段階テストもあって、今までやって来たからなぁ。あれくらいは…」

「ま、あれぐらいは同然。という事だ。」

と、そう言いながらも腕を組みながら嬉しそうな表情で話すヴィータとアル。

そして、しばらく二人の上空のウイングロードでの戦闘が続いていたが、突然激しい爆発音が鳴り響き始めた。

最後の大きな爆発が鳴り終ると、ギンガがスバルの顔面を殴る寸前で左腕を止めていた。

やはり、妹思いの姉である。

「あぁ…ぁ……」

「はい、そこまでぇ!」

なのはが二人に向って大きな声で喋る。

その瞬間、ギンガの勝利が決定した。

「あぁ…。」

「スバルさん、惜しい…」

エリオとキャロは、悔しそうな表情で上空でウイングロードの上に居るスバルを見つめていた。

そして、左腕を元に引くギンガ。

「良いね、色々上手くなった♪」

「ああぅ、まだまだ全然…」

そして、二人はウイングロードを使って地上に降りた。

「良い模擬戦だっだぞ、二人共。」

腕を組みながら、何やら得意そうな表情で二人に話しかけるアル。

「「有難う御座います!」」

「ギンガ、ちょっと良い?」 「はい。」

ギンガはなのはに呼ばれアルとフェイトと共に居るなのはに歩み寄った。

そしてスバルは、ヴィータにアイコンタクトで呼ばれた。

「ギンガ、どうスバルの成長は?」

なのはが、先ほどの模擬戦でスバルの出来について問う。

「ビックリしました。攻防の切り替えが凄くスムーズで、威力も段違いで。」

「……合格?」

「はい!もの凄く♪」

スバルの成長ぶりに、満足そうな笑顔で応える。

そういう面でも、妹思いの姉だと思われる。

「しばらくは、同じ部隊だから一緒に頑張ろう?」

「はい!」

「ま、そんなところだから、一旦集合させるか。」

「そうだね。」

という事で、全員一旦訓練所の中央に集合させた。

芝生の訓練所で、フォワード陣とギンガが整列する。

「じゃあ、折角だからぁ…ギンガも入れたチーム戦、やってみようか。フォワードチーム五人対…前線隊長五人チーム!」

そう言うなのはの背後には、得意そうな表情でやる気満々な隊長達がフォワード陣を睨みつけている。

「…ぅ……えぇ?」

予想もしていなかった、あり得そうもない事を言われ唖然とするギンガ。

しかし、普段から同じ事をやって来ているスバル達は驚く表情はない。

「いやぁあのねギン姉、これ時々やるの…」

「隊長達、かなり本気で潰しに来ますので…」

「まずは、地形や幻術を駆使して何とか逃げ回って──」

「どんな手を使っても、決まった攻撃を決める事が出来れば撃墜になります。」

「キュクルゥ〜!」

と、隊長戦について説明をするフォワード陣。

それでも、ギンガの唖然として表情は消えない。

「ギンガは、スバルと同じくデバイス攻撃ね。左ナックルか蹴り。」

「……はい!」

ようやく、受け入れられたのか、ギンガの顔は気合が入った嬉しそうな表情になっていた。

「じゃあ、やってみようか!」 「「「はい!」」」


─────機動六課──


入り口に立てられた柱に寄りかかっているヘレン。

「……………」

誰かを待っているようだ。

「ヘレンさ〜ん!」

すると、機動六課の出入り口からヴィヴィオが走って来た。

その後ろには、ザフィーラの姿も。

「ぁ、ヴィヴィオ綺麗だね!じゃあ、行こうっか♪」

「うん♪」

そして、ヘレンが右手を差し出してヴィヴィオと手を繋いで訓練所へと向っていった。


今回の話は内容が長いので、前編としてここまでにします!

では皆さん、また土曜日にお逢いしましょう♪
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