▼第十三章後編 そのT
「魔法少女リリカルなのはStrikerS アル=ヴァン編」第十三章 後編 「Sisters & Daughters.」
─────機動六課 訓練所──
「はい、じゃあ今日はここまで!」
「全員防具服解除!」
「「「はぃ……」」」
チーム戦が終わり、なのはとヴィータが上空から降り立つ。
そして、フォワード陣は疲れて地面に座り込んでいる。
「以前より、随分と良くなったな。」
「惜しい所までは行ったな。」
「あと、あともうちょっとだった♪」
既に地上にはバリアジャケットを解除したアルとフェイト、シグナムが居り、内容について評価を下した。
「はぁ、最後のシフトが上手くいってれば逆転出来たのに!」
左腕を横に振り、上手く行かなかった事に対して悔しさをあらわにする。
「あぁ〜くーやーしぃー!」
「フォロー足りなかったね、ごめんね。」
「いえ!」 「ギンガさんは、全然!」
謝るギンガだが、キャロとエリオは気を使って話す。
「悔しい気持ちのまま、反省レポート纏めとけよ!」
「「「はい!」」」
「ちょっと休んだら、クールダウンして上ろ?お疲れ様♪」
「「「有難う御座いました!」」」
その後、スバル達はなのはの言うとおりにストレッチのクールダウンを始めた。
一方、隊長達はそれぞれ話し合いをしていた。
そして、シャーリーとマリエルは二人並んで、フォワード陣のストレッチを見つめていた。
「うん、皆良い感じの子達ね♪」
「エリオ達ですか?それともデバイスの方?」
「………両方♪」
やはり、機械専門の為、デバイスにも興味があるようだ。
マリエルの返答に、デバイスを扱っているシャーリーは微笑む。
すると、マリエルが何かを見つめる。
「ん?」
「……ッ、あぁ。」
すると、横に地面を見ながらゆっくりと歩くヴィヴィオの姿が。
「……ッ、おはよう御座います!」
しっかりと、マリエルとシャリーの正面に身体の向きを変え、頭を下げて挨拶をする。
「あぁ、えっと、おはよう、御座います。」
マリエルは突然挨拶され、誰なのかも知らなく驚きながらも挨拶を交わす。
「おはよう、ヴィヴィオ!」
「うん!失礼します!」
「あぁ、どうも、御丁寧に。」
再びしっかりと頭を下げて挨拶し走り去っていった。
「転んじゃ駄目だょ〜」
シャーリーが走り去るヴィヴィオを見つめながら、ヴィヴィオに呼びかける。
すると、シャーリーとマリエルの間から、ザフィーラの背中に乗っているヘレンが現れる。
「どうもおはよう御座います。」
「どうも、ヘレン副隊長♪」
ザフィーラに乗りながらも、シャーリーと敬礼して挨拶を交わす。
「ぁ、どうも。あぁ、ザフィーラ久しぶり〜♪シャーリー、あの子は?」
ヘレンとも軽く挨拶をし、ザフィーラと久しぶりの再開に姿勢を低くして顎を撫でながら、ヴィヴィオについてに尋ねる。
「ぁ、えっとですねぇ…」
すると、遠くから何かが向ってくる音を聞いて振り向くなのは達。
「ママ〜!」
「ヴィヴィオ〜!」
ヴィヴィオの呼ぶ声に、嬉しそうな表情で返すなのは。
その声に、副隊長やフォワード陣もヴィヴィオの方向を向く。
「危ないよ、転ばないでね!」
両手を広げ、走って向ってくるヴィヴィオに注意を呼びかけるフェイト。
「うん!」
ドサッ!
フェイトの呼びかけに応えるが、その直後に頭から転んでしまった。
「「「ぁ…」」」 「「ッ!?」」
「あぁ、大変!」
と、フェイトが慌ててヴィヴィオに駆け寄ろうとするが…
「大丈夫、地面柔らかいし綺麗に転んだ。怪我はしてないよ。」
「なのはの言うとおりだ、心配するな。」
「それは、そうだけど…」
なのはが左腕を横に出し、フェイトを止める。
なのはが説明しアルが太鼓判を押すように言うが、フェイトは心配そうにヴィヴィオを見つめている。
「ヴィヴィオ、大丈夫?」
「ふへぇ…ぅぅ…ふぁぁ…」
涙ぐみながらも、顔だけなのは達の方を向く。
今にでも泣き出してしまいそうな表情だ。
「怪我してないよね、頑張って自分で立ってみようか。」
「……ママぁ…」
声が震えながら「ママ」を呼ぶヴィヴィオ。
「うん、なのはママ此処に居るからおいで!」
膝を地面に付き、姿勢を低くしてヴィヴィオを待つなのは。
「へぇぇ…ぁぁぅ…ふぁぁ…」
そして、もう言葉にならない程に泣き始めようとしていた。
「…おいで。」
「駄目だよ、ヴィヴィオまだ小さいんだから!」 「ぁっ」
我慢出来なくなったのか、フェイトが駆け出して行った。
それを腕を組んで見つめているアル。何やら眼が光っている…
「よいしょっと。」
ヴィヴィオを待ち上げ、地面に立たせて服に付いた草を払う。
「フェイトママ……」
涙ぐみながらも、フェイトの名を呼ぶヴィヴィオ。
「うん、気をつけてね、ヴィヴィオが怪我なんかしたら、なのはママもフェイトママもきっと泣いちゃうよ?」
「ごめんなさい…」
ヴィヴィオを持ち上げ、優しい声で軽く注意する。
すると、後ろからなのはとアルが歩み寄る。
「もぅ、フェイトママちょっと甘いよぉ!」
「なのはママが厳しすぎですぅ!」
「ん〜まぁ、ヴィヴィオは気が弱いから、なのはのやり方は…ちょっと……」
アルが頭を掻きながら、苦笑いしながら話すアル。
「そうかなぁ〜…ヴィヴィオ、今度は頑張ろうね!」
「…うん。」
そして、フェイトはヴィヴィオを地面に下ろし、なのはがそっと手を差し出す。
「ほら、ヴィヴィオ♪」
「ぁは、ぅんん〜♪」
すると、嬉しそうに笑いながら両手で手を繋いで、隊舎に戻っていった。