▼第十八章 

「魔法少女リリカルなのはStrikerS アル=ヴァン編」

第十八章「無限の欲望」


─────アースラ 艦内──


アルは、リバルと共に廊下を歩いていた。

行き先は、ミーティングルームに向っていた。

そして、一人先頭に立ってミーティングルームに到着し、扉が開く。

「失礼。」

扉が開くと、機動六課の隊長、副隊長、フォワード陣が座っていた。

「「……………」」

隣にはリバルがいつもと変わりない鋭い目付きで敬礼している。

「あぁ、丁度ええタイミングやな。」

「アル、もう大丈夫なの?」

フェイトがふと尋ねる。

「ああ、ヘレンの事は大丈夫だ。心配するな。はやて、話を…」

そう応えると、アルは魔法のマニターに映し出されたはやてに話を戻すように話す。

「うん。ゆりかごには、本局の艦隊が向ってるし地上の戦闘機人達やガジェットも各部隊が協力して対応に当たる。そやけど、高いAMF戦が出来る魔道師は多くない。そやから、隊長らフォワード陣は3グループに別れて各部署に協力する事になる。」

そして、その後話し合わされた結果。

アルは、ゆりかごに向いはやてと共に指揮を執る。だが、ケロベロスの発見、居場所が分かり次第彼の元に向う。

リバルは、ゆりかごに向い、なのはとヴィータが投入する際に共に突入。なのはの護衛をする。

そして、担当が決まり全員がミーティングルームを後にする。

リバルと共に廊下を歩いていると、フェイトと偶然立ち合わせになる。

「ぁ、フェイト。」 「アル…」

お互い、少し驚いた表情をするがやがて少し固い表情へと戻る。

「………先、行ってますからね。」

と、リバルが耳打ちするとアルは、ああと応えてリバルは廊下から去った。

リバルが去ると、フェイトは俯いてしまった。

その表情からは少し不安が感じられる。

「どうした、そんな顔をして。」

アルが軽く、フェイトの右肩に手を置く。

「アル…私……」

「心配するな、奴と俺はいずれ闘う事は分かってる。だがな、負ける気はしねぇぞ。あの時、老王が反応しなかった原因は分からないが選ばれた者として、俺は老王を信じて奴を今度こそ地獄へ葬る。だから大丈夫!お前は、俺の心配するより自分の心配をしたらどうだ?たった一人でスカリエッティのところへ一人で向うなんてまた無茶しそうで不安だ。正直、俺も付いて行ってやろうと思っていたが、俺はお前を信じるよ。」

「私の事は大丈夫。アコース査察官やシスターシャッハも居る。だから…平気。」

すると、突然アルがフェイトに抱きつく。

「ぇ!?」

あまりにも突然の事で、フェイトは驚きを隠せない。

それと同時に、心拍数も上って身体が熱くなる。

「そういう意味じゃない……俺は、フェイトが無理をして怪我をして欲しくないんだ。だから、頼む。」

耳元で、声を震わせながら話すアルの声を聞いて、フェイトは少し落ち着く。

「………うん、約束する。」

そして、フェイトがアルの身体を離すと、頬に軽くキスをした。

キスをされたアルは、一瞬何がどうなのか理解出来なかったが、それは一瞬の事ですぐ身体が熱したフライパンのように熱くなる。

「なッ…ふ、フェイト!?」

「お互い、頑張ろう♪」

そう言い、フェイトはその場から去っていった。

ただアルは、その場で立ち尽くすことしか出来なかった。

そして、少しして我に帰ると慌てて後部ハッチへと急いだ。

慌てて後部ハッチに到着すると、既にフェイトとなのは、ヴィータとはやての姿があった。

既に、フォワード陣を乗せたヘリは出発し、リバルとシグナムとリィンと先に船から出撃している。

「やっと、来たなぁ。そんなら、隊長陣も出動や!」

「「おう!」」 「「うん!」」

後部ハッチがゆっくり開かれ、5つの光がハッチから出てくる。

なのは達はものすごい速さで、降下する。

「機動六課隊長、副隊長一同能力制限、完全解除。はやて、シグナム、ヴィータ、フェイトさん、なのはさん、アル=ヴァンさん。皆さん…どうか!」

「しっかりやるよぉ!」 「迅速に解決します。」 「ご心配なく!」 「お任せ下さい!」

「うん。リミットリリース!」

能力制限が完全に解除され、なのは達はそれぞれのバリアジャケット、騎士甲冑を身に纏う。

そして、なのはとアルは形態を変える為、一度宙に止まる。

「エクシードドライブ!」 「Ignition.」

「アグトレットォ!」

なのはは、エクシードモードによってバリアジャケットが若干変化する。

そしてアルは、瞳の色が紅く染まり、黒き翼が生え、纏っていたマントが消えて腰マントへと変わり上半身が軽装になる。

なのはとアルは、お互い頷き合いフェイト達と合流する。

「なのは。」

すると、横からフェイトが話しかける。

「フェイトちゃん。」

「なのはとレイジングハートのリミットブレイク、ブラスターモード。なのはは言っても聞かないと思うから使っちゃ駄目!とは言わないけど、お願いだから無理だけはしないで。」

「私は、フェイトちゃんの方が心配。フェイトちゃんとバルディッシュのリミットブレイクだって、凄い性能の分、危険も負担も多いんだからね。」

フェイト同様、心配するなのは。

「私は平気、大丈夫。」

だが、フェイトは固い表情で平然に応える。

それを見たなのはは…

「んー、フェイトちゃんは相変わらず頑固だなぁ。」

「な、なのはだっていつも危ない事ばっかり!」

「だって、航空魔道師だよ。危ないのが仕事だもん。」

「だからって、なのは無茶多すぎるの!」

と、二人の上を飛んでいたアルは、フェイトとさっき約束はどうしたのだろうと不安だった。

そのさらに上をはやてとヴィータが飛んでいるが、少々困り気味に見つめていた。

「私達がどれぐらい心配しているか…」 「知ってるよ。ずっと心配してたこと。よく知ってる。」

「だから、今日もちゃんと帰ってくる。ヴィヴィオを連れて一緒に元気に帰ってくる!」 「……うん!」

心配していたフェイトだが、なのはの固い決意を見て不安が消え去って笑顔で応える。

「あのぉ、フェイトちゃん。そろそろ…」

「ぁ、あぁ、うん。」 「フェイト隊長も無茶すんなよ。地上と空はあたしらがキッチリ抑えるからな!」

「うん、大丈夫!」

「頑張ろうぜ!」 「「うん!」」

アルが拳を差し出すと、なのはとフェイトは拳を軽くぶつけ合い、フェイトは地上へと降りていった。

「(今度こそ、決着をつける。ヘレンの為にも、俺の為にも!力の為に正義を捨て、欲望のままに生きて今はスカリエッティの操り人形。だから、彼の為でもある!この戦いは!待ってろ……ケロベロス!)」

「……アル、俺は……此処にいるぜ。」


次回予告

なのは「ゆりかごへと突入する私とアル君とヴィータ副隊長。」

フェイト「スカリエッティのアジトへ突入する私とシスターシャッハ。」

なのは「そして、フォワード達も…」

フェイト「次回魔法少女リリカルなのはStrikerS 第十九章。」

なのは「決戦」

「「Take off!」」

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