▼第十九章
「魔法少女リリカルなのはStrikerS アル=ヴァン編」
第十九章「決戦」
─────ミッドチルダ上空──
アルは、なのはとヴィータ、はやてと共に航空魔師隊に合流して「ゆりかご」を護衛しているガジェットの破壊と、「ゆりかご」への突入口を探していた。
そして、なのはとヴィータと共に移動している際、通信が入る。
「高町一尉。突入出来そうな突入口を発見しました!突入隊二十名が潜行しています!」
「はやてちゃん。」
すると、魔法のモニターが展開され、はやてとの通信を始める。
「外周結界は、私が引き受ける。なのはちゃん、ヴィータ、アル君、行ってくれるか?」
「おう。」 「了解!」 「分かった!」
そして、三人は突入隊が待つ突入口へ急行し、三人は「ゆりかご」の中へと突入した。
「機動六課、スターズ1、2、ロングアーチ、内部通路突入!」
すると、突然魔力が衰え始める。そして、床へとゆっくりと降下していたがAMFの影響で、急落下する。
「AMF!?」 「内部空間、全部に?」
魔力消費が激しくなるが、魔力を多く使い魔力供給を再開する。
そして、三人とも無事着地に成功する。
すると、突然三人の周りに無数のナイフが出現する。
「「「!?」」」
無数のナイフは砕き散り、爆発と共に白煙がたちこもる。
白煙が消えると、アルが球状の防御膜を張って自分も含めてそれを防御した。
「(なのは、ヴィータ、お前達は先に行け。)」
「(だけど……アル君!)」 「(なのは!)」
念話でアルは、なのはとヴィータは先に行かせるよう指示をする。
だが、なのははアルの事を心配していた。
先ほどの攻撃は、ケロベロスのものという事は明白。
アルとケロベロスが再び戦う事を意味する。
だが、なのははアルが再びやられる事を心配していた。
しかし、ヴィータはなのはを止める。
「(なのは、あたし達の目的は駆動炉を止める事と玉座の間に行ってヴィヴィオを助ける事だ。確かに、戦闘機人を抑えるのも大事だ。だけど、此処はアルに任せて駆動炉と玉座の間の場所が分かり次第向う。此処で足止めされるのも分が悪い。駆動炉をささっと止めて、すぐアルの援護に向う。)」
「(ヴィータちゃん…)」 「大丈夫だ。二人共、早く行け!」
そして、防御魔法が解かれて二人はその場から去っていった。駆動炉と玉座の間へ向う為に…
身体の力を抜き、辺りを見渡す。
すると、正面から高速で小型ナイフが迫ってくる!
それと同時に、ケロベロスがナイフを構えて小型ナイフと共に迫ってくるのも確認する。
アルは、エクスキューショナーを軽く横へ薙ぎ払い、小型ナイフを払い落とす。
そして、アルもケロベロスに向って接近し、剣を交える。
「仲間を先に行かせたか、相変わらず良い判断だ。」
「指揮を執るものは、自分の力ではなく、判断力と指揮力が重要だ。今の判断は、当然の事だ。」
刃を交えながら話すと、お互い一度離れあう。
ケロベロスの後方から、ガジェットが数機現れる。
「だが、判断を誤ったな。」
「なに?」
「三人で俺を殺れば良かったものを……貴様一人だけで俺を殺れるとでも?」
ケロベロスの表情は、自信に満ちていた。
その自信に満ちた表情を見たアルには、とても屈辱的だった。
「わざわざ貴様のような奴をわざわざ三人でやる必要なんて、ないからな…」
「後悔するぞぉ?」 「適切な判断をしたまでだ。」
そう話すと再び、剣を握り直し刃を交える。
だが、ケロベロスを援護するガジェットがアルに射撃する。
アルは、すぐさまケロベロスから離れて老王をビースト化させる。
そして、背中の翼を使って上へと上昇し、一気に急降下してガジェットを上から老王の爪で切り裂いて破壊する。
一機を破壊した後、エクスキューショナーを両手で握り締め、ガジェットから放たれる弾を左右に避けながら切り裂いて行く。
すると、後ろからケロベロスから放たれた小型ナイフが迫る。
高速で迫り来るナイフを避けきる事は出来ないと判断したアルは、背中の黒の翼を盾代わりにしてそれを防ぐ。
だが、安心して束の間。翼で防御していた間にケロベロスが後ろに回り、背後から斬りかかる。
アルは、振り向いて老王を盾代わりにしてそれを防ぐ。
「老王に助けられたな…老王が無ければ、今頃お前の左腕は無くなっていたぞ?」
「相手の事を心配するより、自分の心配をしたらどうだ?」
鋭い目付きで話すアルを見て、アルの言葉を疑い顔をしかめる。
すると、ケロベロスの身体にバインドが貼られる。
「な、バインド!?」
アルは老王の拳でケロベロスを殴り飛ばす。
殴り飛ばされ、壁に衝突して壁が大きく凹む。
老王の拳の威力がそれを物語っている…
そしてアルは、少しばかり宙に浮き、翼を大きく広げて老王の腕をケロベロスに掲げる。
すると、翼の左右に一つずつ魔法陣が展開され、老王にも展開され砲撃を放つ準備を進める。
「うぅ、くっ!くそ!」
バインドを解こうとするが、中々解く事が出来ないケロベロス。
「一気に片をつけてやる!」
アルがそう言うと、魔法陣に魔力が溜まっていく。
「ロード・オブゥゥゥゥゥ…」
「クぅ!?」
「ブレイカアァァァアアァァァ!!」
最大まで溜まった魔力は、ケロベロスに向って放たれた。
それと同時に、ガジェットが身を張ってケロベロスの前に並ぶ。
だが、ROB(ロード・オブ・ブレイカー)はガジェットも飲み込む。
それと同時に、爆発が起きて黒煙がたちこもる。
「…………」
まだやったとは思わず、アルは床へ足を着き、黒煙の先を見つめる。
黒煙が消え去ると、そこには頭から血が流れ、腕からも少しばかり出血し、壁に寄りかかっているケロベロスの姿があった。
「浮刀術を上手く使ったか。」
「あれが無ければ、今頃あの世だった。これぐらいで済むなら、まだマシだ。」
ケロベロスは、浮刀術で大量の小型ナイフを精製し、それを自分の前に集結させて防御壁を作り上げてアルの砲撃を防いだ。
砲撃により、防御壁は破壊されその破片がケロベロスの身体を傷つけた。
「だが…」
すると、アルがエクスキューショナーを両手で構える。
「これで終わらせる!」
そして、床を蹴り一気にケロベロスに迫る。
ケロベロスも、此処でやられる訳にはいかない。
すぐさま立ち上がり、軽く宙を飛んで壁を蹴り、アルに迫る。
ケロベロスのナイフは、小型ナイフを終結させて長剣へと姿を変えて刃を交える。
「くふぅぅぅ…ケロ、ベロスぅぅぅぅ!」
「んぅぅ…アルうぅぅぅぅ!!」
二人が激闘を繰り広げている中、病室で一人の騎士が目を覚ました。
─────聖王医療院──
「………、ん?」
目を覚ますと、目に映るのは病室の天井。
横に目を向けると、パイプ椅子の上に置かれた制服とそのさらに上に置かれたヘレンのデバイス、グラディウスが置かれていた。
ヘレンは、ゆっくりと身体を起こすと身体中に巻かれた包帯に少し驚く。
だが、その驚きの瞬間的な事で、ゆっくりとベットから降りる。
素足の上に包帯が巻かれている為、床の冷たさが伝わってくる。
そして、包帯をゆっくりと解き、傷が癒えた身体が現れる。
包帯を全て解き、全裸になったヘレンは、パイス椅子に近づいてグラディウスを手に取る。
「………行かなきゃ。」
グラディウスを胸に当て、そう呟いたヘレンは、騎士甲冑を身に纏い病室を後にした…
目的は、ゆりかご内に居る父ケロベロスに会いに行く為…
「ゆりかご」 軌道ポイント
到着まで
あと 2 時 間 1 6 分
次回予告
なのは「続く戦い、傷ついていく隊員達。立ち向かう痛みと、立ち向かえない痛み。消せない過去とそれぞれの傷跡。」
なのは「次回魔法少女リリカルなのはStrikerS 第二十章」
なのは「Pain to Pain」
なのは「Take off.」