▼「羽と大変な任務」 4
「それには私が答えていいのかしら?」「僕が言いますよ、ゼスト隊長からの命令は、ツリーに使う木を取って来いってことで、ソラたちはそれの助っ人ってことだね。」
「あ〜、なるほど、それでここに来たということ。」
「そういうわけです、それじゃ行きますか。」
そう言って歩き出して、大きくてとても高い木の前についた。
「これがオオモミモドキよ。」
「これが…」
「大きいですね。」
「いや、大きすぎでしょ…」
今見上げている木は、高さで言えばビル3階ほどあり、太さは大人が5、6人いても回りきれないほどである。
「これを取るんですか? メガーヌさん。」
「ええ、任務にぴったりですし、これぐらい大きくないと目立たないでしょう?」
「目立つって言っても限度ってものがあるでしょうが!」
「クイントさん、抑えて抑えて。」
「そうね、邪魔者も出てきたみたいだし。」
いつの間にか周りを巨大な獣が取り囲んでいる。
数はざっと見ると40ほどだ。
それを見ると、各々がバリアジャケットを装着し始めた。
「あら、やっぱり大きな木の周りには大きな熊やら何やらがいるのね。」
「バカ言ってないで行くわよ。」
「それなら補助よろしく。」
「了解、Perforating&Acceleration(威力、速さ向上)」
クイント・アルピーノペアはいつもの模擬戦と変わらない様子だ。
「羽、いつもどおり私が後ろから撃つから避けながら倒していって、数が減ったら私も前へ出るわ。」
「わかった、いくぞっ、空ぅぅ閃っっ剣!!」
羽は衝撃波を放ち、獣との距離を詰めていく。
「くらえっ、瞬閃凍臥っ!」
羽は踏み込んだ先にいた獣に4回斬撃を加えた。
獣は倒れた。
切られたところは凍っていて、あまり血は流れていない。
「避けてよっ、炎熱の詩を歌い、衝撃の炎の波を作らん、ヒィィィィト、ウェイブッ!!」
ソラは発動した剣型のデバイス、ヒメを真横に振る。
するとなぞったところから炎が溢れてくる。
その炎はその形を崩さずに直進する。
(いったわよ、羽、飛んで。)
(よし。)
羽は後ろから飛んできたヒートウェイブをかわした。
それと同時に羽の近くにいた獣の数体は炎熱波に飲まれ、地に伏した。
焼き具合はレアといったところだろうか。
ともかく全身やけどは間違いない。
一方クイントは両手の手甲で獣を殴り、ほとんど一撃で倒している。
一撃で倒せずとも、すぐさま蹴りが入り昏倒させている。
(メガーヌ、アレやるから魔法上げて。)
(わかったわ、Add to Magic over。)
クイントは右腕に装着した手甲のカートリッジをロード、そして遠距離からメガーヌのマジックオーバーの魔法が掛けられる。
「きたきたぁぁぁぁ、うなれぇぇぇ、リィボォルゥバァーシュゥゥゥゥゥゥットッッ!!」
クイントは左手で狙いを定め、右手で拳を放つように空間を殴った。
右の拳から魔力球が精製され、打ち出された。
その球体は大きく、勢い良く飛んでいって横並びになっている獣3体に同時に当たって、30メートル後方へと吹き飛ばした。
「ぃよっし、ストライク!」
(次が来るわよ。)
「まっかせてよ!」
(ソラ、まずい!)
(どうしたのよ、羽!?)
(向こうのほうが倒してる!)
(知るかぁぁ! っと、避けてよ、行ったわ。)
羽の近くに炎の弾丸が降ってくる。
一発、二発、まだまだ降ってくる。
獣を狙って降ってきているのだが少し外れているものもある。
誘導弾であるのだが上から降ってきているのでほとんど制御が利かない。
だがこの流星群のおかげで4体を昏倒、他2体にダメージを与えた。
(あっぶなっ、やるならやるっていってよ。)
(はははは、今度は言うから、それより前見てないと怪我するよ、もうそろそろ私も前に出るからがんばって。)
(OK。)
羽は抑揚のない声で言った。