▼「羽と大変な任務」 6 

「うわ、すごい…。」

「ほんとに治ってる。」

ソラと羽は感嘆の言葉を告げる。

「さて、この木を切って持っていきますよ。」

「はい、わかりました。」

「にしても、こんなに大きな木をどうやって切るわけ?」

「簡単なことよ、片方から根元を削っていって大体半分まで削ったら、削っていた方向に倒すの、削るときは対物設定の魔法やデバイスで、でもあんまり燃やしたり凍らせたりはしない
で。」

「「わかりました。」」

「最初に削る役は私たちの仕事ね、デバイスで地道にやるわよ。」

「いっけぇぇ、空っ閃っ剣! 続けてぇぇ、裂竜刃っ!」

木はバリバリと音をたてることもなく削れていった。

木の半分を超えるのが目標だったようだが、半分まであと3分の1というところまで削って止まってしまった。

ソラとアルピーノは茫然として、クイントはニヤニヤしている。

先ほど羽は衝撃波を放ち、木の根元に傷を付けた。

次に木との距離をつめ、渾身の一撃を放った。

その結果、半分とまではいかなかったがかなり木が削れた。

「あれ、ソラ、どうしたんだ?」

「なんでもないわ、早く削っちゃうわよ。」(私の裂竜刃だったらあそこまでいったかしら。)

ソラは笑顔を繕って言った。

「少年、さっきの二人の顔、見たかな?」

「いえ、見てなかったですけど…。」

「なんだ、見てなかったのか、羽達との模擬戦、楽しみになってきたよ。」

クイントと話していると、ソラが木を削り終えたようでアルピーノが二人を呼び寄せている。

「もう、二人でソラにまかせっきりでサボりですか?」

「す、すみません。」

「あはは、ごめんごめん、それで何をすればいいのかな?」

「もう削り終わりましたから、クイントのナックルでこっちに倒してもらえば私が転送魔法で隊舎に送るわ。」

「OK。」

クイントが削った側から後ろに回る。

「カートリッジ、ロード!」

手甲のシリンダーが回転し、カートリッジが装填される軽い音が響く。

「ふぅ。」

呼吸を整えるために一息吐く。

呼吸が整うと木に向かって駆け出した。

「いっけぇぇぇ、リィボォルゥバァァァァァァ、インパクトォォォォ!!」

クイントが木の幹に向かって思い切り拳を叩きつける。

木は大きく揺れ、予定通りアルピーノが転送魔法を展開している方向に傾き始めた。

「行ったわよ、メガーヌ。」

「わかったわ、場所、首都防衛隊ゼスト隊隊舎、転送!」

倒れ始めた木が魔方陣に入るとアルピーノが場所を告げて転送した、それと同時に羽、ソラ、クイント、アルピーノも転送された。

ゼスト隊隊舎

「ちょっと、メガーヌ!!」

「あら、どうしたの?」

「僕たちも転送するなら言ってくださいよ!」

「そうですよ!」

「まあまあ、いいじゃないですか、早く戻ってこれましたし。」

「おい、お前たち、よくこんなでかい木を取ってきたな、俺もこれぐらいのがいいと思ってたところだ。」

いつの間にか後ろにゼストが立っていた。

「「「「ゼスト隊長!!」」」」

「よく任務を果たした、今から4時間の休息を与える、十分休んでくれ、ちなみにそのあとはこの木の装飾だ。」

「「「「了解!」」」」

与えられた休憩をこなすために羽とソラ、クイントとアルピーノのペアどうし別れた。

「クイントさん、1時間休憩のあとに模擬戦してくれませんか?」

「だめよ、あんたたちはしっかり休んどきなさい、模擬戦ならクリスマスプレゼントとして25日にしてあげるから。」

「わかりました、ありがとうございます、ソラ、25日だって、やった!」

「どうもありがとうございます、クイントさん、私たち負ける気はありませんから。」

模擬戦の約束もしっかりとりつけている。

「どうする、羽?」

「う〜ん、クイントさんにもああ言われたし休もうかな。」

「そうね、私も少し魔法使いすぎたみたいで疲れたわ。」

「じゃ、お互い部屋で寝るってことで。」

「お〜い、羽ー。」

羽とソラがお互いの部屋に戻ろうとすると、遠くから羽を呼ぶ声が聞こえた。
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