▼「羽と大変な任務」 7
羽を呼んだ人物が近寄ってきた。「お、ソラもいたか。」
「「レキさん!」」
「おまえら、いちいちハモるなよ。」
近寄ってきた人物は羽とソラの先輩のレキだった。
「「別にハモってませんよ!」」
「ふう、まあいい、羽、アルピーノさんには会えたのか?」
「はい、任務をこなしてきました。」
「もしかしてあの木ってお前らが取ってきたのか?」
「はい、クイントさんも手伝ってくれましてスムーズにいきました。」
「クイントさんも行ったのか? 俺も行きゃあよかった。」
レキは壁に手を叩きつけながら本当に悔しそうにしている。
羽とソラは苦笑いしてみていた。
「あ、そうだ、レキさんに教えてもらった煉獄の竜巻、すごくよかったです。」
「そうか、役に立ったなら教えた甲斐があったな。」
なんとか立ち直ったようだ。
「それでは僕たちは休憩をもらっているのでこれで失礼しま〜す。」
「そうか、ゼスト隊長も分かってるな、あれはずいぶん魔力食うし、他にもいろいろやってきたんだろ、しっかり休め。」
「「はい、ありがとうございます。」」
(だからハモるなって。)
二人はレキと別れ、それぞれの部屋に戻り休息を取った。
12月25日
結局今日まで装飾の作業がかかった。
雪が降っていないのが唯一の救いだ。
ちなみに日が傾きかけている。
あれだけ大きい木に付けるのだから結構な労力と装飾が必要になる。
集めるのに4日、飾り付けるのに3日かかった。
ところどころ装飾がなくてもいいのではないかと提案があったが、現場の部隊長に任命されたアルピーノがそれを許さなかった。
その甲斐もあってかとてもきれいに仕上がった。
「クイントさん!」
羽はクイントを見つけ、走り寄っていく。
「羽!」
「今日はよろしくお願いします。」
「ん、何のことだっけ?」
「ちょ、今日は模擬戦してくれるって約束じゃないですか!」
「ははは、冗談だよ、ちゃんと覚えてるって。」
「本当にお願いしますよ。」
「大丈夫だって、何なら予行演習として今一対一でやってあげよっか?」
「本当ですか!? それなら是非…」
「すまない、羽、いるか?」
いきなりゼストから通信が入ってきた。
「っはい、何でしょうか、ゼスト隊長。」
羽は姿勢を正し、返事をした。
「二つ目の用事だ。」
ゼストがいった言葉はクイントに聴かれていたが、ゼストと羽以外に今の言葉の意味をわかる者はいない。
「わかりました、今すぐ行きます。」
「よし、すぐ来てくれ。」
そういうとゼストとの通信が切れた。
「すいません、模擬戦はやっぱりソラとペアのときにお願いします。」
「わかったわ、模擬戦は明日でもいいから早く行きなさい。」
「ありがとうございます。」
隊長室
「羽、お前に来てもらったのは他でもない、このクリスマスの仕上げをして欲しい。」
「と、言いますと?」
「雪を降らせるんだ。」
「え?」
「たしか儀式魔法で周りの温度を操る魔法を持っているのを覚えていてな、全てはこのときのためだったんだ。」
一瞬、羽は考えた。
だが、答えは決まっていた。