▼短編 ピーナッツ男
あれは、全国大会二日目のある昼下がり。第二体育館前の廊下での話しだ。

彼は、長椅子に二人分のスペースを占領しすいよすいよと寝息をたてていた。

私たちはそれを温かく見守っていた。

ふ、と…彼は目を覚ました。

カメラマンだからカメラでも撮りに行くのだろうと私たちは思った。

がさごそ…がさごそ…。

彼は何かを探し始めた。

そう…彼の手にはピーナッツ…。

私たちは唖然とした。

彼はピーナッツを適量、手にのせると…一粒手に取って口に運んだ。

彼は幸福そうにそれを噛み締めていた。

一粒一粒、幸福そうな笑みを漏らしながらピーナッツを噛み締めていたのだ。

私たちはそれを温かい目で見守った。

そう…いつの間にか私たちは彼に恋をしていたのだ。

一粒一粒ピーナッツを噛み締める彼に……。

全て食べ終えると彼はその場をさっていった。

そうして…私たちの青春は終わりをむかえた。



彼の名は『ピーナッツ男』







あとがき
  
  数年前の事実です。
友人Cと一緒にまとめたものです。
  多少脚色してありますが、彼は永遠に我々の胸の奥深くに
  素晴らしい思ひ出を作ってくださいました。
  ありがとう。ピーナッツ男。
             2006.5.22. 倉紗仁望



2007/6/29(Fri) 21:56
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