▼羽根の折れた天使 第三羽
堕ちてきた…。

何か…黒い…?いや、白いのか……

この曇天の空を見上げても気付けるほどに、白い…何かが…。

僕めがけて―――――――――…って…


「なんでぇぇぇぇぇぇぇ?!」


僕は近所迷惑なんてお構いなしに叫んだ。

それもそうだ。

得体の知れない何かが、僕めがけて遠慮容赦なく堕ちてこようとしているんだから。

慌てながらもその得体の知れないものの正体が気になってしょうがないのは人間の本能。

僕は生唾を飲み込んでその得体の知れないものを受け止めることにした。

どうせ僕に向かって降ってきてるんだし…何かの縁だ。

だんだんとその姿が見えるようになっても、やはり得体の知れないもの…。

一体なんなんだろう。。。


「…え?」


あと数メートルであろう地点で僕は目を見張った。

子供だ。

真っ白な、それこそ純白の服を着た小さな子供…。

そして、あんなに高いところから堕ちて来たというのに…まるで衝撃など無く、僕の腕の中に降り立った。

それどころか、ふわりと羽でも抱えているかのように軽い…。

一体…何だって云うんだ。

僕は呆然とその場に立ち尽くしていた。

いつの間にか、雨は本降りになっていて…僕とこの小さな子供を濡らしていた。



2006/8/14(Mon) 16:30
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