▼ろくでもないヤツ Do you know my disgrace lover?
 浜田の誕生日まであと二日。今日は日曜で部活も午前中で終わった。することがないわけでもなかったが、やる気になれず部屋の中でぼんやりしていた。

 「孝介ー。浜田君から電話よ〜」

 母親が子機を手渡してきた。電話を耳に近づけると浜田が呼ぶ声の後ろで、だれか知らない女の声がしていた。

 『あっ。泉悪いけどさ、今すぐここまで来てくれよ』

 浜田は少し困ったような口調で話してきた。泉は浜田が呼び出すことに理由があることは分かっていたが、なぜか気持ちがむしゃくしゃして素直に頷きたくなかった。

 「なんでだよ」
『え・・・。っとだな、それは・・・』

 浜田の歯切れが悪いことも泉の苛立ちを増加させた。このまま電話を切ってしまおうかと受話器を顔から遠ざけていると、浜田が必死に迎えを頼んでいるのが聞こえた。被害者であるなら言っちまえばいいのに、言わないってことは何かやましいことでもあるのに違いない。

 「浜田、切るぞ」
『泉!?ちょっと待って。話すから、全部話すから』

 どうやら浜田は元同級生達にはめられて合同コンパまがいのものに参加してしまったらしい。といっても知り合いの女の子や男共を会わせて遊ぶという目的で作られたものらしいのだが。浜田は断ったのだと言っているがそれもいまいち信用できない。なぜならのりのりで会場を盛り上げていたらしいからだ。横にいる女が浜田の隠そうとしていることをちょくちょくと言ってしまい、その度泉の怒りは蓄積されるのだった。

 『なあ泉〜。お前にしか頼めねえんだよ』

 ほんとに仕方のないヤツだ。許してやるのもこれっきりだから覚悟しろよ。今度からは容赦なく切り捨てるからな。

 「それどこだよ」
『泉!ありがとう』

 全く俺はあいつに甘いんだろうな。でも仕方ない、あいつは俺の大切なヤツだから。守ってなんかやんないし、守ってくれとも言わないけど、それでも傍にいて欲しいとは思う。だからいますぐ隣に行くから、待ってろよ浜田。





2006.12.17
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