◆起きぬけの歌 
『縁結びの神』



私たちの縁結びの神は
あの日食べた おさしみ かもしれない

自分の破片を食べた者らを
魚が出逢わせ つなげたのかも

あなたと私は もしかしたら
一匹のマグロの化身

だって ふたりとも 
こんなにも海が恋しい



私たちの縁結びの神は
あの日食べた りんご かもしれない

自分の実りを食べた者らを
あのりんごの木が 呼び寄せたのかも

あなたと私は もしかしたら
一本の紅玉の化身

だって ふたりとも
こんなにも赤がお似合い



あぁ 思い返してみれば
私たちはみんな 今まで食べた 命の化身

回り逢い 惹かれ合い 語り合うことになったのは
私たちの細胞に溶け込んだ いろんな命の遺伝子たちが
呼び合うからかもしれないのだ


ふたたび ひとつになりたくて
ふたたび 海へ還りたくて
ふたたび 大地に根を張って
光浴び 枝伸ばし 一緒に果実を 実らせたくて







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