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X 遠距離恋愛??

近くに居てくれたら・・ でもあなたは遠い人だ
だから僕は、あなたの近くに行くしかないんだよ

あなたの考えも、僕に対しての意識も少しだけ変えてみたい
でも、離れていたら全然気持ちが伝わる事は無いんだよね

仕事机に向かう
腰を掛けて座ると溜め息
現実の仕事・・ ハァー 一つ溜息を吐く度に一つ幸せが逃げるんだよね パソコン相手の仕事など30年前は考えられないよね 昔のコンピューターなんかワンボックスカーを、縦に何台も置いた位に大きかったからね
パソコンは楽で良いけど、このままだと漢字も忘れてしまうよ 読み方さえ覚えていれば後は類似する漢字の意味を間違って使用しなければ良いのだ 最近のパソコンは丁寧に参考例題を表示してくれるので間違いが少ないよ
乱筆で誤字脱字の多い自分をサポートしてくれるのだから  計算問題だって、グラフだって簡単綺麗
企画書・提案書・対策書・・・ 仕事に見合ったソフトをインストールするだけで簡単綺麗
情報だって玉石混淆だけど、インターネットが自分の行動を削減してくれる
出前だって電話一本、欲しい物だって電話一本、大概の商品は電話或いはインターネットを介し簡単便利
昔のSF小説の様に、頭でっかちのタコみたいな宇宙人も強(あなが)ち嘘では無いかもね 座った状態で全て処理出来るのなら便利この上ないけど、排尿排便とか困るし風呂だって入りたい、歯磨きだって、偶には自然に接したいと思うし、結局は自分が動かなくとも周囲の誰かが犠牲に為っているからね まぁ一人は無理っう事だな 
以前は膨大な資料を倉庫から探し出してファイルを紐解いて、手書きで処理を行っていた事を考えると現在の仕事は逆に溢れ返る情報から、有益な情報だけを選択し、更に手早く処理する事が望ましいのだ
いっそのことコンピューターがAI(人工知能)を搭載して、推論・学習・連想・認識・理解と云った一連の動作を勝手に執り行ってくれれば、人間は楽になって余暇の活用が出来るだろうし、仕事でも別の事に目を向けられるのになぁ!?
でも今までこれだけOA化が進んだのに、仕事が楽になったと思わないのは、少しずつ革新されているからなのだろうね 売り上げだって毎年伸びてさえいれば、仕事だってなかなか減ることが無い訳なのだが、近年は芳しく伸び率が低下している 海外に目を向ける時期に来ているのかもしれない 日本は飽和状態なのだ

彼女の事を考える
彼女は一体何処で何をやっているのだろうか  ボー っとしていて仕事が手に着かない
正直云えば自分は閉職である 別段急ぐ必要もないのだが、疎外感からこの場所に居る事が堪らなく嫌なのだ
そろそろ潮時なのかもしれない 
明日は休みだ 明日彼女は電車に乗っているだろうか 明日も自分はストーカーになるのだ・・

果たして彼女は電車の席に座っていた
混み合っているとは云え、彼女に気付かれない様に注意が必要である
カチューシャは最近珍しい 松井須磨子を思い出すのは俺だけだろうか あぁ彼女のカチューシャになりたい!
あーぁ 俺は変態だよ 一人の女性を追い掛けてさ 立場が立場なら怒るよな っうか犯罪だね・・ ホンと
こうなったら背水の陣じゃあないけど、このまま電車の中で告白しよう !!
彼女は迷惑だろうが、この電車の中では自分も逃げる訳にはいかないもんな よし、そうしよう! 行動在るのみ
“すみません 突然ですがよろしいでしょうか?” 
吊革につかまったサラリーマンが怪訝な顔で観ている
彼女の隣に座っている高校生はキョトンとした顔をしている 違う違う君じゃあないよ と内心思う
肝心の彼女は、自分を見つめたまま何も云わない

こんなに近くで彼女を見るのは久し振り 嬉しさのドキドキ 
細身の身体 真っ直ぐの黒髪 優しい眉毛 
俺って眉毛も好きなんだよ 涼しい目元まで包み込む様な、心から映える眉毛 んー日本語が可笑しいかな
だって、眉毛が上を向いていたら心優しい人だって怒っているみたいジャン
眉毛が無かったら怖いよ 大山倍達じゃあ無いんだけど修行中なのかな?
それとバッチリメークの人は顔の産毛を含めてみんな剃っちゃうんでしょ?
彼女は殆ど化粧をしていなかった でも綺麗っうか可愛いっうか、俺好み

“実はあなたに興味があって、そこでその・・ 時間を私の為に捕って頂けたら嬉しいのですが・・!?”
彼女は何も云わないけど、唯黙って頷(うなず)いたのだった 
えっ これって了解した事になるのかな?
いつもの駅で、彼女の後に続いて降りる
彼女はチラッと自分を見ると、スタスタといつもの様に歩いてしまった
黙って附いてこい と云うことなのだろうか
例のあの道だ 色んな工場関係が入り交じったあの場所だった
彼女は在る建物の前までくると、自分にメモを渡した “18:30” と書いてある
彼女はメモを自分に渡すと、無言の侭建物の中に入っていってしまった 
“18:30”に此処の場所に来いというのだろうか